リーガル・レバレッジ

リーガル・レバレッジ

コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

BLJ 2017年12月号

 

Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 12 月号 [雑誌]

Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 12 月号 [雑誌]

 

 

サボってしまった定期購読書籍のレビューシリーズ。ちょっと忙しくなるとすぐ止まってしまう悪い癖が...とウジウジしててもしょうがないのでささっと書きます。前向きに行きましょう。

 

1.法務部門CLOSE UP

 特集対象は住友商事さんの法務部。(コンプラ含めて)50人オーバーが在籍されているということですが、一人に慣れると想像もつかない規模感です笑

 社費での米国ロースクール留学はもちろんですが、定期的に外資や大規模事務所の外部弁護士が出向してきてくれるというのは大変羨ましい。抜群に優秀な人と一緒に仕事すると最初は自分の至らなさに哀しみを覚えるばかりですが、時間が経てばとても効率よくノウハウやスキルを吸収していけます。自分の経験上一番伸びやすいスキル向上/教育方法という所感ですので、部下が伸びないという不満を抱える人は一緒に働いているはずの自分の振る舞いを見直した方が...ゴホゴホ 話が逸れました。

 このコーナーに対するちょっとした不満なのですが、紙面の関係や攻めるような場ではないということを踏まえても記事内容がちょっと表面的過ぎるのかなあと。「法務全体のパフォーマンスを最適化したい」みたいな抽象的なコメントが多く、課題や解決策が参考にしにくいですね。毎回楽しみにしているコーナーなので充実に期待したいところです!

 

2.不正・不祥事対応の最新実務

 ①不正・不祥事実務対応の「現実的な」手引き②外部専門家を活用したフォレンジック調査の実務③不正を行った従業員に対する処分と責任追及のポイント、不正・不祥事発覚後の社外対応の勘所、の4本立て。

 個人的に一番気に入ったのは①。いざトラブルに直面したら、当たり前だろうと思っていることが全然できなかったり思いつかなかったりするもので。その点大枠や概要、基本的なNG事項がまとまっているこの記事はとても便利だと思います。

 BLJの実務解説シリーズは全般がコンパクトで使いやすい内容になってるのが嬉しいですね。

 

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不正発生時のスケジュール表。しょっちゅう対応することがない案件だと、こういうスケジュール感が掴める物はとても重宝します。

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NG対応例。当たり前のことだけど当たり前にできるのかというのがポイント。

 

3.Q&A 法務相談の現場から

 他社から特許権侵害訴訟が届いた際の初動対応、がテーマ。最近のトレンドテーマですね。

 警告書が届いたときに大事なのは「時間稼ぎ」という、ちょっとびっくりな内容。もちろん適当に書かれているわけではなく、なぜ大事なのかが具体的に説明されておりなるほどという感じです。反撃するための準備に時間が必要で、ではどうやって時間を稼ぐかという時間稼ぎの3つの方法も紹介されています。実務家ならではの観点なので見習いたいところです。

 警告書によくある「●月●日を目途にご回答を」という一文が入っていたとして、じゃあそれまでに対応しなきゃいけないの?どうしたらいいの?って悩ましいところですよね。

 

以上、BLJ12月号の紹介でした。

読むと何かしらの収穫があるのが良いですねー

 

Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 12 月号 [雑誌]

Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 12 月号 [雑誌]

 

 

企業法務はくだらないのか

 ありがたいことにリクエストいただいたので書きます。さらっと書く予定だったのが予想外の壮絶な難産に見舞われるという。

 結局のところ仕事が嫌な理由の根源を探すと人間関係に行き着かざるを得ないわけで、法務が嫌だった理由をつらつら書いていると前職の職場に対する悪口の羅列になってしまいうーむ困った、という感じでした。頑張ってそういう部分は削ったつもりではあるのですが、全体としてネガティブな内容になってしまってます。ご了承くださいませ。

 

では本題ですが
 企業法務をやっている人に「企業法務ってくだらないですよね?」と言われたときになんと返せばいいのか。「その通りだよ」でしょうか。「そんなことないよ」でしょうか。私なら「会社変えてみたら?」ですね。

 くだらないと思う気持ちはよく分かるけど、そんなことはないよという感じです。「前向きにやってればいつか面白くなる」的な気持ちの持ち方次第みたいな話ではなく。

 

 私は前職時代に「二度と法務なぞやるものか」とジョブチェンを決心したのですが、そこまで深く決心したのは法務職を見限っていたからです。結局会社を変えて今も法務を続けているのですが、イヤイヤではなく「法務って面白いなー」と心を改めたので続いてます。

 この自分の心境の変化は何を示唆するのかと考えたのですが、要するに会社の体質・上司と同僚の質と人間性アサインされる業務次第で職務に対する評価は全く変わるということで。当たり前の話ではあるのですが。その中でも法務特有チックな部分をピックアップしてみました。

 

期待値の高さと今のポジションの乖離

 トピックはかっこいいのですが、今時の若手風に言うとコスパ悪いよねの一言に片付きます。コスパが悪いと思う理由は以下。

 

理由その①
 そもそも仕事ができるようになるためには自己研鑽が必須の職種です。普段の仕事をこなす+法律のお勉強+英語のお勉強+会計のお勉強+α。まあしんどいですね。周囲の同期たちが飲み会や合コンにふけっているのを横目に机に向かわないといけない、なんてこともよくあるわけです。他が遊んでいる時間に自分は遊べず、上司からもそれが当然のように言われてプレッシャーかけられると。とりあえず他より楽ができる仕事でないことは間違いなしです。

 まあでも、それは仕方がないでしょう。自分で選んだ職種なんだし、頑張ってれば上を目指したり待遇がよくなったり期待できるし。

 

...いや、しなくない?っていうか無理じゃない?というのが2点目に繋がります。

 

理由その②

「管理部門はコストセンターだから少しでも出費が出ることは罪だと思え」

 

 言い方の柔らかさや多少の文言を代えて、このような趣旨の話を一体何度されたことやら。要するに管理部門だから

・お前に払う残業代は無駄だから残業は一切ならぬ(1.2年目の私にそんな無茶な)

・雑用や掃除は他部署の分も率先してやれ

・早出して創業者の銅像や入り口付近を綺麗にしろ

・(営業部には実施している)製品研修は業務時間にやらせるとコストになるから、プライベートな時間を使って自分で製品を触れ

 「会社のコストにならないために能力を向上させていただきます」みたいな気持ち悪い文章をよく分からない研修レポートにも散々書かされたり。

(今から思うと単なるマインドコントロールです)

 会社全体からの法務に対する評価も低かったですね。おだてれば色々と雑用引き受けてくれるぞっていうのが周囲にばれてたので、上辺だけの「プロフェッショナル」「重要な役職」なんて言葉はたくさん頂きましたが。

 

 現状厳しい扱いを受けているからと言って将来も厳しい待遇になるとは限りませんが、ここまで雑な扱いを受ける部門に所属していて先があるとはどんな楽天家でも思わないでしょう。役員構成見てると経理から出世の可能性はありそうでしたけど。法務は無理、無理でないにせよキャリアかけてまでコミットするほどの可能性はありませんでした。

 法務での出世が難しいという理由につき、奥村先生の下記ツイートが大変参考になりますので是非ご参照くださいませ。

 

 

理由その③

 総合職だなんだと言われても、やはり法務の本質は事務職です。事務職の典型的なデメリットとして

・定型作業が多い(自分の裁量なんて出る幕も無い)

・労働集約型であるがゆえに自身の評価や給与にレバレッジが効きにくい

・プロダクトが日の目を見ることは滅多にない

 

 身も蓋も無い言い方をすれば、面白くない上に楽もできないの一言に尽きます。

 プログラミングの発達やAIの登場で事務作業に注力してる場合ではないという危機感を持っているにもかかわらず、振ってくるのは事務仕事ばかり。マクロや電子化で作業を減らそうと思えば「仕事をサボりたがるゆとり」の烙印。散々手間隙かけて作った契約書は日の目を見ることなく(当たり前だけど)保管用ファイルに一直線でおしまい。何だこの仕事は?

 

 営業さんのように数字で挽回するみたいなことができないので、上司の匙加減次第で評価が決まっちゃうというのもキツいところ。

 古き良き(イヤミやで)会社だと、前述した諸々の雑用に加えて、飲み会での宴会芸強要や休日消費型のレクリエーション企画幹事なんてのもざらに有るわけです。グチグチ。
そして受諾を渋ろうものならエンドレスパワハラの繰り返しが始まります。こういうのをやりたがらないのは普段世話してもらっている感謝の気持ちが足りないだの、これも仕事だから出る義務があるだの。じゃあ休日出勤扱いにしろよって話なのですが。グチグチ!

 サラリーマンである以上そういうところで評価がついてしまうのはやむを得ないのですが、にしてもこれは酷いだろうと。

 法務の大きなメリットに「転職が容易」があるって聞いてたのに、このままじゃまともな条件で転職なんてできん!と焦りを募らせ、溜まりに溜まった焦りが法務への失望に変わっていくのでした。

 

 

それではここで上記3点をまとめてみると

他の職種より技能向上に負担がかかり

会社からは無駄金使い扱いされて「雇っていただいてありがとうございます」アピールをしなくてはならず

スキル向上につながりそうにもない雑用が山ほど振ってくる

楽もできない上に裁量も無くプロダクトが日の目を見ることもない 仕事

が、当時の私の「法務職」だったのです。これは嫌になると思いません?笑

 

 3~4年程法務として働いた私は、こうして法務が嫌いになっていくのね、ということで法務をやめる決意をして退職したのでした。

 

 

...辛気臭い話ばっかりですいません!

ちゃんとポジティブなオチが待っているのでもう少しお付き合いくださいませ。

 

単なる事務職を超えられるか

(事務職は会社に不要であるという趣旨ではない。念為)

 ここまで法務のことをボロクソに言っておきながら、現状でまだ法務としてやっているのは惰性ではなく「法務は頑張る価値があるポジション」という意見に変わったからです。

 

 今の職場には、事務作業を減らす工夫を「またゆとりがサボろうとしている」と言ってストップかける上司はいませんし、上辺だけでなく本気で重要職として扱ってもらえて、自分の考えは尊重してもらえる裁量もありますので、上記の理由その①で挙げた「自己研鑽に要する負担が大きい」ことを踏まえても良い職だよなと思います。会社規模が小さくなったとはいえ、経営に近いポジションを経験できたのは変えがたい経験でした。

 また、水野先生の法とデザインの副題である「創造性とイノベーションは法によって加速する」というのが理解できると一つ壁を越えられる(かつ自分が理解していると)と勝手に考えてます。あれがダメだこれがダメだと指摘して人のビジネスの助けになっているかどうか分からない状況から、自分の力で自社のサービスや人事制度の向上を手助けできるわけです。法務という仕事に対する見方が変わってとっても楽しくなりますよ。

 

法のデザイン?創造性とイノベーションは法によって加速する

法のデザイン?創造性とイノベーションは法によって加速する

 

 
(ルール=人を縛るだけのものという既成概念を変えられるんだ、ということが分かったような気になっている自分に酔っているだけというのは否定しません笑)

 人間の重要な欲求に「承認欲求」というものがある以上、役に立ってるかどうか分からない仕事を続けるというのは難しいものです。目に見えた結果や実感が得られるフェーズに入れるか、入れるところまで我慢ができるかというところが分岐点かなと。

 

 前職時代は少なくとも一日に5回(起床時、出勤前、仕事前、昼休終わり際、退勤時)は仕事嫌だ会社辞めたいと思ってた私ですが、今の仕事に変わって2年ほど経った今でも一度たりとも会社行きたくないと思ったことがありません。正直手元の仮想通貨が1億になろうが2億になろうが仕事はやめないぐらいには気に入っています。

 それは仕事が楽だからじゃないのか?いえいえ労働時間も対応している案件量も前職時代より激増してます。案件管理用のタスク表見てると増加量が顕著ですね。

 

 結局のところ、見切りをつけるほどに私が法務を嫌ったのはその会社固有の事情による部分が大きかったのだなあと。

 

 最後に一部例外(会社を変えても法務は好きになれない)として、本人の志向や適性と合わない場合。こればっかりはどうしようもなかとです。営業がやりたくて仕方がないのに管理系に配属されたとか、インプットが苦手以前に文字読むとかのが苦痛な人から法務への拒否反応なくすのは不可能に近いところ。そんな状況本人にとっても会社にとっても不利益なので、早めに職種転換をさせてあげるのが賢明です。受け入れられなければ結局転職という選択肢になってしまうのですが...

 

 というわけで、「企業法務ってくだらないですよね?」という問いかけを自分が受けたときは
 くだらないと思った理由を聞いてみて、それが事務職に対する不満である場合は職種転換を、法務という仕事に対する不満である場合には「会社変えてみたら?」という答えを返してあげることになるのかな、と思いました。

 

 

ベンチャー法務は面白いぞ、というポジショントークを最後に添えて)

 

 

 

法務×ブロックチェーン

2018年となりました。あけましておめでとうございます。

 

 このブログもツイッターアカウントも初めてちょうど1年くらいで、無事に1年ちゃんと続けられた自分に賞賛の拍手を送ってます(ハードル低っ)。皆さんのブログやつぶやきが直接的間接的に仕事に役立つことも多く、ブログもツイッターも初めてよかったなあと思ってます。今年も引き続きよろしくお願いしますm(_ _)m

 それでは本題。

 

 昨年度火がついたビットコインブーム。1ビットコインが230万円だと思ったら130万円になってたりと価格の上下幅が凄いですね。ちなみにこの上下幅のことをボラティリティと言います。仕入れた言葉はすぐ使いたいお年頃。

 私の具合はというと2017年中に参戦しております。持ってる通貨が朝起きたら5000兆円になってないかと期待して毎朝起床するのですが、なかなか実現しそうにないのが残念なところ。初心者だというのに大損食らわずに済んでるので、滑り出しはまあ上々といえるでしょうか。

 

ブロックチェーンビットコイン

 ビットコインが世間のトレンドになりそれなりの時間が経ちます。「新しいもの」というのはそれだけで価値があるというのが信念なので、ちょいちょい本を読んだり実際に投資して勉強してます。

 本当にさわりだけ解説しますと、ブロックチェーンというのは情報の共有・管理方法のことです。今までは本体のサーバーに一元管理されていた情報を、ネットワークに繋がっている不特定多数のコンピューターに分散させて共有します。

 絵にすると(クオリティに関しては本当にごめんなさい。iPadPro×ApplePencil使って全力で書いてこれなんです。許してください。)

今まではこんな感じで

 

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ブロックチェーンはこんな感じです

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 分散させて情報を共有するということは、情報を改ざんするのにとても手間がかかりますよね。一個改ざんしても他の情報と照合できなければ改ざんは失敗ですし、無数にあるネットワーク上のコンピューターの全情報を書き換えるなんて不可能です。

 今までの本体サーバー集権型だと、本体の情報を書き換えてしまえばそれで改ざん成功です。なのでなんとしてでも改ざんされないようなセキュリティが必要であり、それのコストが必要になるから銀行だと送金やら諸々の手数料が高く時間もかかったと。法務関係の方なら聞いたことはあるであろう「スマートコントラクト」も、同様にブロックチェーン技術を使ってスピードや安全性の向上を狙っているのです。

 ざっと解説したように「ブロックチェーン」というのは情報の管理・共有技術の話です。「ビットコイン」というのは仮想通貨の名称なので別物ですね。ごっちゃになっている方の整理に役立てば幸いです。

 

ブロックチェーンの勉強を始めるべき?

 ブロックチェーンの主な使われ方は(お金の流れも含めた)情報管理です。言うまでもなく「お金」と「情報」は業種問わずどこの会社でも扱うものなので

① 自社がブロックチェーンを使ったサービスを始める

② 自社が仮想通貨での決済を始める

 という可能性は少なくない、というかかなり現実的にあると考えてよいと思います。

 今朝の読売新聞で、ネット銀行や地銀など数行がブロックチェーン技術を使って銀行間送金手数料を大幅に下げるサービスを3月から一部開始との情報が出ました。現実に導入している企業も。

 ビックカメラの他にも、軽く調べただけで決済可能な店舗はいくらでも出てきます。友人の会社を例に出すと、自社専用の仮想通貨を発行して社内での決済に使用してたりと面白い限り。

 

 ではこういう新しいものを試そうというとき、法務としてはどういう事態になるでしょうか。「ブロックチェーン使ってみたいんだけど、リスクどう?」的な(雑な)質問が来るのは目に見えています。そんなときにゼロからブロックチェーンやそれにまつわるサービスから調べるのか、既に概要が頭に入った状態からリーガル面の検討をするのとではスピード・質ともに雲泥の差でしょう。

 また、こういう新しいものが出てきたときは上司や同僚から仕事奪うチャンスです。法務チームに相談が来たときに、ドヤ顔で「ああ、ブロックチェーンですか。もちろん情報は追ってますよ。知ってて当たり前ですわ」的なことを言ってみるとどうなるでしょうか。イヤな奴だと思われるでしょうね。やめておきましょう。さらっとスマートに解説して「俺はよく分からんし取りあえずこいつにやらせてみるか」ぐらいに思ってもらえればしめたものです。事前に準備しておきたいですね。

 

学び方

 実際に仮想通貨に投資するのが一番効率いいです。人間身銭を切ると切迫するので笑
 とはいうもののの投資が嫌いな方も多いでしょうし、私が読んだインプット用の書籍を2冊ご紹介です。

 本当に1時間あれば読めそうな入門書です。解説が分かりやすく量も多すぎないのではじめて読む1冊目にはぴったり。一年以上前なので情報がやや古い(1ビットコイン7万円とかの時代)ですが、本質的な部分は共通です。がっつり割り引かれてるから価格も安いのもGoodです。

 

  1冊目の一時間でわかる~はほぼビットコインに関する情報でしたが、こちらはビットコイン以外にもスマートコントラクトやオンラインゲーム分野での活用も記載されているのでイメージしやすいです。証拠書類の保管やデジタル文書の真正性証明に活用、というとクラウドサインなんかが思い当たるところです。

 基本的な情報技術用語が出てきたりするので、一時間でわかる~よりかはちょっと発展編。とはいえ実例付きで情報技術用語が学べるので、基本情報技術者を目指している方は理解の助けになると思います。

 

 

最後にちょっと補足

※ 「ウン百万も貯金ないから始めたくても始められない」と勘違いしている方多いですがという方、500円~1,000円の少額でも全然始められます

※ 当たり前すぎる話ですが、投資は全て自己責任でお願いします。損失が出ようが元本割れしようが私は一切責任負いません m(_ _)m

 

 

 

民法の短答過去問、解いてみませんか

法務パーソン×予備試験

 「本気で目指してはないけど、法務をやっている以上気にはなる。でも7法全部一からやるのはちょっと...」という方は少なくないと見受けました。

 コメントもいただきましたが、費用対効果が良くない上に予備試験単体では何の資格にもならないということで、まあそりゃそういうスタンスが普通だよねという感じです。あれ俺はなんで受け始めたんだっけ(困惑)

 実際勉強して思うことなのですが、そこまで予備試験の勉強はそこまで企業法務スキルに直結しません。悲しい。遠まわしにはがっつり貢献してくれるのですが、なかなか芽が出るのに時間がかかるので他の勉強したほうが手っ取り早いです。

 その原因はやはり、企業法務で主に必要とされるのが民法と商法やや順位が落ちて民訴にもかかわらず、かなり優先順位の落ちる憲法行政法・刑法・刑訴にもフルコミットしないといけないという点だと思います。(断じて法務パーソンに不要という趣旨ではない。念為)

 

 ということで、そんな方々のニーズに合致すればいいなと思いまして、司法試験過去問のご紹介です。とっつきやすい契約法関係から引っ張ってきましたので、力試しにも知識の再確認にも是非どうぞ。
 法務パーソンである皆さんはもちろん全問正解ですよね!?(無駄に煽っていくスタイル)

 

※問題の形式だけちょっと改変してます。内容は全く一緒です。

 

〔平成21年民事系第23問〕
 A(東京在住)は,友人の美術品愛好家B(京都在住)が所有する複数の掛け軸のうち掛け軸「甲」を手に入れたいと考えた。そこで,AはBに対し,4月1日,そのための手紙を出し,この手紙は4月3日にBに届いた(以下これを「本件手紙」という。)。

 この場合において,AB間の甲の売買契約の成否及びその時期に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものはどれか。なお,日付は,本問において,すべて同じ年のものである。


ア.本件手紙が「甲などお手持ちの掛け軸について,お譲りくださるお気持ちはありませんでしょうか。」というものであり,これに対し,Bが4月4日,「100万円でよろしければ甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月6日にAに届いたところ,AがBに,4月7日,「甲を100万円でお譲りくださるとのこと,ありがとうございます。」という手紙を出し,この手紙が4月9日にBに届いた場合,甲の売買契約は4月4日に成立する。

 

イ.本件手紙が「甲を100万円でお譲りください。」というものであり,これに対し,Bが4月4日,「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月6日にAに届いた場合,甲の売買契約が4月6日に成立する。

 

ウ.本件手紙は「甲を100万円でお譲りください。」というものであり,これに対し,Bが4月4日,「120万円でよろしければ甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月6日にAに届いたところ,AがBに,4月7日,「それでは120万円で甲をお譲りください。」という手紙を出し,この手紙が4月9日にBに届いた場合,甲の売買契約が4月7日に成立する。

 

エ.本件手紙は「甲を100万円でお譲りください。」というもので,4月3日午後3時にBに届いたが,Aは,本件手紙を投函した後,気が変わり,4月3日午後9時に,「本件手紙が届くかと思いますが,事情により,甲をお譲り願う件はなかったことにしてください。」という内容の文書をファクシミリでBに送信し,当該ファクシミリ文書は同日時にB宅に届いた。しかし,Bは,4月4日,「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月6日にAに届いた場合,甲の売買契約が4月4日に成立する。

 

オ.本件手紙は「甲を100万円でお譲りください。」というものであったが,Aは,手紙を投函した後,気が変わり,4月2日午後9時,「本件手紙が届くかと思いますが,事情により,甲をお譲り願う件はなかったことにしてください。」という内容の文書をファクシミリでBに送信し,当該ファクシミリ文書は同日時にB宅に届いた。その翌日である4月3日,本件手紙がBに届いた。しかし,Bは,4月5日,「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月7日にAに届いた場合,甲の売買契約が4月5日に成立する。

 

 

 

ちゃんと理由付け含めて合ってないとダメですよ<●><●>


勘で当たったとかは「正解」に含まないですからね<●><●>

 

 

 

答えあわせ

 

正解肢 ウ、エ

 

解説

ア 契約の成立日は4月4日ではなく4月7日なので誤肢。

  売買契約の成立には少なくとも①目的物と②代金額につき合意が必要であり、4月4日の時点ではBがAに対しオファーしただけにとどまるため。

 

イ 契約の成立日は4月6日ではなく4月4日なので誤肢。

  承諾の通知は発信主義(民法526条1項)

 

ウ 契約の成立日は4月7日なので正肢。

  4月4日におけるBのAに対する「120万円でよろしければ甲をお譲りします。」との返事の手紙は「申込みに変更を加えた承諾」であるため、4月4日におけるAのBに対するオファーを「拒絶」し「新たな申込み」をしたことになる(528条)。

  この新たな申込みに対するAの承諾発信は4月7日であり、4月7日に契約が成立する。

 

エ 契約の成立日は4月4日なので正肢。

  524条により「承諾の期間を定めないで隔地者に対してした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。」。

  そのため、4月3日午後9時にAはBに対し申込の撤回をしているが、4月4日という「通知を受けるのに相当な期間」内にBは承諾の通知をAにしているので、Aの撤回は効力を生じず4月4日に契約が成立する。

 

オ 契約は成立していないため誤肢。

  申込の通知は原則どおり到達主義(97条1項)。

  手紙の到達は4月3日であり、効力が生じる前の4月2日にAはBに撤回の通知をしBに到達しているので、4月2日に申込の効力は失われている。したがって、申込みを欠くので契約は不成立となる。

 

 

おわりに

 いかがでしたでしょうか?

 勘で当たったのはダメと言いながら、契約の話なのである程度普通に考えれば正解が導けるのもあります。聞かれている知識も基本的ですし、ビジ検2級で出てきそうな問題です。

 にもかかわらず、本番での正答率は高くなかった模様。聞かれているのは基本的な知識だけど、フェイクの入れ方とか事実の組み合わせ方が巧妙で難易度高いと思います。

 「知ってるだけではあかんのやぞ。短答やけど頭使えよ。」

 という試験委員からのメッセージが伝わってくるような問題でした。

 過去問と向き合ってると「司法試験の問題ってよくできてるよなあ」と感嘆させられることしばしばですね。

 

 本エントリを見て「ちょっと過去問やってみようかな」と思った方に、オススメならぬこれは避けたほうがいいぜ過去問をご紹介しておきます。

 

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 避けた方がいい理由なんですが、正誤の理由付けがほんっとに雑です!

 「判例は~としている」「●法●条による」とだけポンっと書いて終わりというのが多いんですが、それは解説になってない!と怒りを隠せません。

 (大事なんは結論に至るロジックやろうと)

 資格合格から遠ざかる主要要因に「テキストや使用教材に無駄なこだわりを出す」っていうのがあるので、あまり使っている教材変えたくないのポリシーなのですが。流石にちょっとなあ...という感じで。

 

法務×副業【法務系Advent Calendar15日目】

 このエントリーは"法務系 Advent Calendar 2017の15日目のエントリーです。

 がっつりとハードルを上げてくださったマイニチぱみゅぱみゅ(●´ω`●)(@Utastm)さんからバトンを受け取りました。

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 定番の分野・トピックというのは諸先輩方の皆様にかなうべくもなく、やはり若手(20代なので偽装ではない)は目新しいトピックを開拓していくべきだ!ということで、私のACテーマは世間のトレンド真っ只中の「副業」でございます。

 

 現職について1年半が経過して、落ち着くと同時に危機感的なものを感じるようになりました。

 前職よりも規模感が小さい会社に転職した結果、幸いにも現場に近い場所で仕事ができました。お金を稼ぐというのは大変なんだということを身をもって知り、金策に関する興味が深まりました。

 

 AIにどれだけ仕事を奪われるのか。事務職である以上受けるあおりは少なくないと考えています。

 業績がいいとはいえベンチャーなので、今の会社がダメになった時どうすればいいかというのはイヤでも考えてしまいます。

 私は法曹資格持ってないので、フリーランスになったら自分一人でリーガル関係で稼ぐというのは相当難しいものがあります。残酷なまでに突きつけられる「今会社を放り出された生きていけないよね」という悲しい現実。

 にもかかわらず、一時期のシャープや今の東芝の状況からしても「一社に身を埋める時代」でないということは明らかです。

 

そうなると

a) いざという時いつでも転職できるように市場価値を高めておく

b) 会社に依存しなくても稼げるようになっておく

のどちらかはできるようにならんといけません。

じゃあどっちをできるようになるか?...

 

両方でしょ!

 

というところまでがイントロで、以下本編です。

 

 

1.どんな副業をチョイスすべきか

 副業って言っても色々とありますが、じゃあ何をするのかと言いますと

 契約書審査や法律相談などのリーガル的なお仕事「以外」

 であれば、なんでもよいと考えております。

 

理由その① ~市場価値アップの観点から~

 市場価値アップというと抽象的ですので、記事を交えながら固めます。

blog.tinect.jp

 

 How Google works 「私達の働き方とマネジメント」という書籍の紹介記事です。

 メインのポイントは

 ・企業の成功に必要となる要素は

  →プロダクトの優位性(質・スピード)

 ・優れたプロダクトをスピードを持って開発するにはどのような人材が必要か

  →スマート・クリエイティブと言われる人々である

 ・スマート・クリエィティブとはどのような人か

  →医師、エンジニアなど高度の専門知識を持っており、実行力に優れ、単にコンセプトを考えるだけでなく、プロトタイプを創ることのできる人々。また、ビジネスセンスがあり、専門知識をプロダクトの優位性や事業の成功に結びつけて考えることができる。

 

 企業の成功に必要な人の市場価値が上がるのは明白なので

 法務なので高度の専門知識は持っているという前提で考えれば、後必要なのは

 「プロトタイプを生み出せる」つまりはクリエイティブであって

 「知識をプロダクトの優位性or事業の成功に結び付けて考えることができる」ビジネスセンスを持っていること、ということになります。

 

 じゃあどうすればクリエイティブになれて、ビジネスセンスが身に付けられるのかというと実践してみるのが一番の最短距離、すなわち自分でモノ/サービスを作って、それを売るだけの話なのですが

 勤め人×法務ですとそういう機会ってかなり少ないので、副業はリーガル関係以外で探すべきなのです。

 

理由その② ~法務業務以外でもやれるでしょ?~

 「そうは言っても、法務が法務以外のお仕事をやるなんて難しいのでは...」と思った方に、大丈夫ですよというお話です。

 まずはこちらのインタビューから。

consulnews.jp

 この他にも、弁護士←→コンサルというのは比較的よく見かけるジョブチェン事例ですね。

 理由は「ロジカルが必要とされる部分が共通しているから」と、インタビュー中にもあるとおりだと思います。

 そして、ロジカルはコンサルに限らずホワイトカラー的な職業全てに活きるスキルであり、法務はロジカルが要求される職業です。つまり、法務で仕事ができていれば他職でも通用する可能性は十分にあるということです。

 

 「いやいや、他職でも活躍できるのは弁護士だからでしょ... 」と思った方に、次は私の体験談

 

 今まで高評価を頂いたところの例を言いますと

 ・ 現部門の上長からはメールや報告の文書が論理的で分かりやすいとの評価

 ・ エンジニアの勉強をしていたとき、プロダクトのコードをチェックした講師から「コードが非常に綺麗で、一読したら何がしたいか分かる」との評価

 ・ 全然リーガルに関係ない他部門の相談をしばしばお願いされて、気付けば私の承認が必要になった

 というのがあります。

 

 高評価を受けている根本となっているのは、いわゆるロジカルな部分や文書作成能力です。

 これは決して先天的な才能とかではなく、全て法務として仕事や予備試験とかを通じて法律の勉強をした結果習得したスキルによるものです。

 「法務に関わったことのない自分」が平行世界で別世界で仕事をしていても、間違いなく高評価を得られていません。

 また、法務職は普段から自己研鑽的な勉強が必要な業務ですし、日ごろからインプットをする癖がついているモノです。別職種に行ったときはこれが周りと差をつけることができたポイントでした。

 ということで「法務は法務以外の仕事ができない」ではなく「法務だから未経験の他の仕事でもやっていける」というのが私の持論です!

 

理由その③ ~非弁行為~

 私達法務パーソンが「副業やろうぜ」ってなったときに、まず立ちはだかるのが弁護士法72条です。

第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。

 

 「法律事件」をどう解釈するかにつき、事件性必要説と不要説に分かれているようですが

 違反時の罰則が二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金(77条3号)ということで、踏めたモンではないリスクとなってます。こればっかりは仕方ありません。

 (「弁護士法72条は弁護士の既得権益を確保するものであって、市民の利益を~」なんてことを声高に主張してらっしゃる団体もあるみたいですね。)

 

 他社の社外取や顧問として活躍している方もいらっしゃるようですが

 他社とのコネクションや求められるスキルから考えると流石にハードルが高いように思います。

 

 

 以上、法務パーソンが法務畑以外の仕事をやるべきで、法務畑以外でも活躍できる土壌があるという話でした。

 

 リーガル以外なら何でもいいと言いながら、アルバイト等のように時間給の仕事は避けるべきですねと補足。本業が終わった後の深夜労働で本業に影響が出たら本末転倒ですので。

 時間が固定されていない委託系のお仕事はクラウドワークス的なサイトで探せばいくらでも出てきますし、そういったところに掲載されているもので十分です。英語の邦楽論文の和訳とかとっつきやすそうなのもありますよ。

 ちなみに私が手をつけているのはデータ分析とアプリ開発です。

 

2.法務キャリアへのつながり方

 ここからは、副業で経験した他業種がどう法務業務に生きてくるかのご説明です。

 

○ 直接的に活きるところ ~リスク計算能力の向上~

 適切なリスクの判断につき、私のお気に入り書籍のこちらで法的リスクの計算に必要な各要素について的確な解説がされています。

 

事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック

事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック

 

 

一部引用すると

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 法的リスクとは

 ① 法令違反そのものの影響の大きさ

 ② 法令違反の発生確率

 ③ ダメージコントロールの成功度

 を掛け合わせたものと表現することが可能であり、次ページで続けてこのように説明されいてます。

 

「発生するコスト(費用)と、当該施策を実施することから得られる経済効果(利益)とを比較(費用便益分析)し、あえてリスクを踏むというビジネス上の意思決定を行うこともあり得る」

  

 いやいやこんなの法務なら当たり前だろ!ブログに書くほどのことかよ!

 という意見もあるでしょうが、当たり前のこの

 「法的リスク算出→費用便益分析→アドバイス

 というアウトプットの質をどれだけ上げられているか、つまり各要素をどれだけ具体的に数値化して事業部の意思決定をサポートできているかはとっても重要だと思うわけです。

 

 じゃあ数値化すればいいじゃないという話ですが、これがまた難しい。

 転職市場を見ていると、数字を分析したり経営に活かせる経営企画、マーケティングやデータアナリティクスといった分野の年収はかなり高いです。

 要するに、数字を使って分析するというのはそれだけ難しい業務ということで

 じゃあ、ちょっとでも数値化して法的リスクが提示できるようになれば相対的にとても優秀な法務になれるのではないかと。

 何をすればどれだけ儲かるのか、どれだけ損失がでるかを判断できるようになるには
いかにビジネスの実践を積めるかという点に尽きるのではないでしょうか。

 (他にも有ったら教えていただきたいです)

 

○ 間接的に生きるところ ~事業部門を理解するために~

 自分のタイムラインを見てますと、一度事業部を経験することは大事だよなあと感じている方、実際に経験してみて法務に活きているという感覚を持ってらっしゃる方がほとんど。

 というか、「コスパ良くなかった」とか「経験する価値がない」という方を見た覚えがないです。

 事業部門で経験するのと同等とまではいいませんが、一度自分でビジネスを経験することで事業部門スタッフの感覚を理解し感じることは十分に可能です。

 法務(に限らずサポート的な部門に対して)に何を期待して、何をしてほしくないのかというのを実感で感じてみることは大事ですよね。

 

○ 守りの考えから ~気軽にジョブチェンはできない~

 別に副業じゃなくてもジョブチェンすればいいのでは?という疑問に対して

 ジョブチェン=異動or転職ですが、両方ともハードル高いですよね。

 

 他部門への異動ですと、法務は選任で雇われることが多くそもそもが難しいです。事業部内での異動がある会社でも、コーポレート部門から事業部にというのはなかなかレアケースかと思います。

 じゃあ他部門研修でという考えがありますが、研修となってしまうと1、2ヶ月工場に行きましたとか、営業研修って言いながら営業の人の後について回るだけ、というのが経験上ほとんどです。「本気で」「お金を稼ごうとしたか」が大事なので、全然目的達成のアプローチにはなってないですよね。

 

 まどろっこしいこと言ってずに他職種への転職、だとどうでしょう?

 結論からいくと、待遇面・年齢面・実際に新業務にフィットするのかという点から難しいですよね。

 待遇面だと、体感的に法務以外で転職すると50万ぐらい下がるイメージです。生活水準がそれだけ落ちるというのは難しいでしょう。家庭を持っている方は特に...

  年齢的な話をしますと、どのエージェントに聞いても「未経験業務にジョブチェンしたかったら20代のうちでないと」という回答が返ってきます。まあ採用する側としても理解できるところではあります。

 何より怖いのが、幸いにも上記課題をクリアできたのに実際に別業務に従事したら「これは自分に向いてないな」と判明してしまったときです。早く法務に戻りたい、でも今やめたら履歴書に変な経歴が...という狭間で悩むリスクもなくなります。

 

 

 以上、法務パーソンにおける副業の必要性と相当性でした。

 ...別に副業が例外と言いたいのではなく、ちょっと論文式な雰囲気を出したかっただけです。すいません。

 余談はさておき、本業への好影響が見込まれて、特にリスクもなく(自社の就業規則は確認してくださいね)、その上ちょっとした収入が見込まれるのです。

 軽い気持ちでいいので一度やってみませんか?

 合うか合わないかなんてやってみないと分からないですし、無理そうならやめればいいだけの話です。

 

3.おわりに

 まとめますと

 ① 自分の知識を自社製品・サービスの優位性や事業の成功につなげることができれば、法務パーソンとして市場価値を上げることができ、今後も必要され続ける(生き残る)ことができる

 ② そのためにはビジネスに関する経験が必要であり、他業種でも対応できる土壌がある法務パーソンは副業に適している

 ③ 他業種をやって幅を広げれば選択肢が増えるし(横の観点)、法務としてのキャリア向上にもつながる(縦の観点)

 というポエムでした。

 この記事が、法務以外のことをやってみるのも悪くないかもな、なんて思っていただくきっかけになれれば幸いです。

 

 法務以外のお仕事経験が法務業務にすごく役立ってくれています、というのをもっと具体的に言語化したかったのと

 副業実践談も交えて書ければ良かったのですが、執筆までに書けるほどの数こなすことが間に合わず...

 というのが心残り。

 

 なお、言うまでもないことですが
 副業が法務に与える反射的メリットだけでなく、「お金が増える」「自分で稼げるようになる」というのも同じかそれ以上に大事です。

 お金があるからこそ会社に依存しなくてよくなり、やりたいことができれば資本を投下できるのですから。

 できることなら、副業で稼いだお金は浪費せずに自己投資、なんてできると最高のループですね。ああおいしい焼肉食べたい。

 

 ご覧になった皆さんも「こんな副業いいんじゃない?」みたいな情報ありましたら是非是非教えてくださいませ。

 コメントはもちろん、ツイッターのアカウント宛(@pnt_law22)でも全然OKです!

 

 ※ 若手の分際で「法務以外に目を向ける」なんて言うと結構反感を買いそうですが、そういったリアクションは百も承知の上で提案してます。

 

 

 さて、私の記事はここまでです。

 明日は@NH7023ことアーリー@育休&リーガルテック さん。

 前回のライトニングトークではハンバーグありがとうございました!

 (美味しかったです!)