リーガル・レバレッジ

リーガル・レバレッジ

コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

広告トラブルに巻き込まれないように 法務×広告契約

珍しく法務っぽい話題メインで書きます。お題は広告法務について。

まずはこちらをご覧ください。

 

3行でまとめると

・ヘイト系まとめサイトの酷さが目に余ると怒る人たち

・アフィ収入なくなったらサイト運営続けられないんじゃね?と思いつく

・出稿元企業に経緯を説明→出稿元企業が広告掲載を停止

という流れです。自社にも起きそうな問題ですよね。そんなヘイトサイトに広告出すつもりなんてなかったのに!みたいな。

 

 

IT業界に入って驚いたことのひとつに「ネット広告の勢いは凄いな」というのがあります。広告ってこんなに儲かるんだー、夢があるなーと。

お金が動くところにトラブルありといいます。ソースは私。メーカーであれ金融であれネット広告を打たない会社ってないと思うので、必然法務にも何かしらネット広告系の相談が来ることが予想されます。

幸い業種的に広告と触れる機会が多かったので、実務的な話を含めて広告契約の話を書きます。それではどうぞー

 

1.気をつけるべきポイント

広告取引の流れ

まずは広告を掲載するとなったときの全体像を。説明用に超省略して書きます。

自社が広告を出稿する場合、大概こんな感じの流れになります。ちなみに自分で作った図なので図解もできる法務の人と褒めてください。

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広告を出稿する際、基本的に掲載媒体と直接取引するということはありません。何かしらの仲介企業が間に入り、出稿候補(仲介企業の取引先)の中でもっとも広告効果が出るであろう媒体を仲介企業に選んでもらいます。アドテクノロジーが全自動で選んでくれたり、カテゴリーだけは人が選んだりと色々パターンはあるようです。

広告系の契約を結ぶ相手は媒体(出稿先)ではなく仲介企業、というのを分かっていただければOKです。

 

広告契約で見るところ

① 即時出稿停止が可能か

変なサイトに広告を載せると「自腹を切って広告を出した結果自社の価値が毀損した」ということになります。そんな悲しい事態は極力避けるために、変なサイトに自社の広告が掲載されていると知ったらすぐに出稿停止できるような条項が入っているかを確認しておきましょう。

可能であれば「変なサイトに掲載した分の広告料は払わんぞ」というのも入れておきたいですね。変かどうかの判断が難しいものもあるので相手は嫌がることが予想されます。相手との力関係をベースにして臨機応変にどうぞ。

仮に即時停止条項がなかったとしても、今回ほど明確に媒体がアレなケースだと仲介企業も応じてくれるとは思いますけどね。

 

② 単価の計算方法

単価の計算方法ですが、CPI・CPM・CPCといった略称単語がやたらと出てきます。略称使うのは別にいいけどたまに定義されてないままの契約書があるので困りもの。

特にCPIは

Cost Per Impression(表示回数に応じて料金発生)

Cost Per Install(アプリ等のインストール回数に応じて料金発生)

のどちらにも取れますし、契約内容も全然変わるので定義されてるかは要チェックです。

 

他だと”look back window”とか”attribution window”というのもよく見ます。これ何だか分かります?

 

正解は「広告クリック後に発生したインストールを、クリック後何日まで広告による成果とみなすかの期間」でした。ちなみにググっても出てきません。分かるかそんなの!

 

2.広告出稿時のリスクって何よ?

プロモ担当の人から聞いた実例だと、以下のようなトラブルがあったそうです。

・予算を超えて出稿した

・出稿期間以外に広告が出てた(広告会社の担当者が止めるのを忘れるなど)

・配信NG(アダルトとか)の配信先に出てる

上の2点は予算以上・期間外の広告料を請求しないというので対応可能だと思いますが、NG先に出稿は自分がやらかしたらと思うと震えますね...

 

 

3.広告契約に関する書籍

手持ちの本をご紹介。この2冊があれば十分という感覚です。

 

改訂2版 ネット広告ハンドブック

改訂2版 ネット広告ハンドブック

 

ビジネス面や契約スキームより法律論を優先して考えるとロクなことがない、という自分の経験則があります。タイトルから分かると思いますがリーガル要素は全然ありません。だがそれがいい

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右が解説左が図解という構成になっています。図解があるので微妙にややこしい取引像のイメージもしやすく、見開きごとに収まる解説量でデジタル広告の全体像を把握できる内容になっています。

 

広告法

広告法

 

去年評判になっていたこちらもステキです。実務面をベースに広告に関係するリーガル面が解説されています。実務面とリーガル面のバランスが良いって良書の必要条件ですよね。

第2編・実践編で解説されていますが、広告に掲載された肖像の権利処理とか意外にややこしいんですよね。定番の景表法だけでなく「公職選挙法」のトピックもあって、カバー範囲が広いなとうなりました笑

詳しくはkanegontaさんのブログがとっても詳しいので、こちらをポチっとどうぞ~

 

以上です。

そもそも、条項集含め広告法務の本って少ないんですよ。困ったときの●●みたいな本がないので、スキームやら全体像を自分で理解する・分からないことは担当者にがっつり教えてもらうというのが大事だなーと思っとります。

面白いですよ、マーケティング

プログラミングのかじりかた 法務×プログラミング

ジョブチェンエントリーの派生記事。ギットハブ買収でプログラミング話題が盛り上がっててちょうど良いタイミングなので書きます。
(ずっとジットハブって呼んでたのはひみちゅ)

 

この記事を読んでいただきたいターゲット層はこんな方。

①プログラミングできたら便利そう。市場価値も上がりそうだし話題になってるから興味もある。やってみたい、という思いがある。かつ

②以下のいずれか

a)でも何から始めたらいいかさっぱりわからないから手が動かせない

b)転身する気まではないから法務に役立つ範囲でプログラミングを勉強したい(=がっつりやりこみたくはない)

 

要するにエンジニアスキル0を1に進めたい人ですね。よくあるドラクエで例えるとレベル1でアリアハン状態の人です。法務がプログラミングを学ぶ意味がイマイチ分からないという人もぜひ。

 

それではどうぞー

 

1.法務がプログラミングを学ぶメリット

失業対策

「AIが人の仕事を奪う」なんてのは散々喧伝されているところです。AIとまではいかなくとも、機械化やシステム化で人がやる事務作業がなくなっていくのは確実です。事務方に分類される法務があおりを受けるのも間違いないでしょう。

そこで考えるべきは「機械ができる仕事・できない仕事は何か」を知ることです。機械ができる仕事に注力しているなら方針を変えなくてはいけません。

ある程度数をこなしてると、自分のやっている仕事がプログラミングで処理できる仕事かどうかというのが見えてきます。プログラミングだけできる、法務だけできるのどちらかだと見えてきません。ここが法務としてプログラミングができるようになるメリットです。「円の面積を求めるプログラム」は円面積の計算方法が分からないと組めないのと同じ。

プログラミングを学んでコードを書いたりしてると、機械ができること・できないことが徐々に肌で分かってきます。今後のキャリアの道筋を立てるのに役立ちますよ。

 

システムが絡らむ法務問題の理解に

システム開発契約や訴訟に関わる可能性がある以上、プログラミングを理解していて損はありません。開発の人に教えてもらえればおおよそ概要は理解できるのか、教えてもらった程度では全然分からないのかでは雲泥の差です。

トレンドな話題で例に出しますと、GDPR関係の話題で「fromEUAccessメソッドというのがあって、それを使えば〜」という話が出ました。「アクセスを検知→EUからのアクセスかどうかを判定→EUからのアクセスなら同意取得等々/EU外からのアクセスなら通常の画面へ」という全体像と、おおまかなコードが頭に浮かぶと会話に置いてかれないので便利です。

 

法務業務に使ってみる

ちょっとできるようになれば、決まった時間にメール自動送信したりして自分で事務作業も減らせます。もっと発展すれば利用規約ジェネレーターなんてものを作っているすごい人もいらっしゃいます(これ、マジですごいと思う)。フォームに必要事項入力したらNDAが出力できる仕組みも作れそう、というか実際そういうサービスやってる法律事務所さんありますね。機械ができることは機械にやらせましょう。

 

2.オススメ入門サービス1選

色々な入門サイトを巡って試した私が自信を持ってオススメします。

間違いなくprogateが一番良いプログラミング入門サービスです。

 

激推しの理由として

 

① インプット教材の質

インプットの説明はスライド形式なのですが、文章少なくて図で解説してくれるんでとっても分かりやいです。初心者としては超助かります。

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② すぐアウトプットさせてくれる

解説インプットのスライドは2~3枚、多くても5枚ぐらいです。終わったらすぐにコードを自分で書きます。こんな感じ。

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記憶を定着させるにはインプットとアウトプットの両方が大事なのは言うまでもございません。インプット→アウトプット→インプット...をテンポ良く繰り返せるので身に付いてるぜ感があるのがグーです。

 

他のプログラミング入門サービスはインプットが動画形式なのが好きじゃなくて...。動画終わるまでは絶対見てないといけないのと、コード書いてて読み返したいなってなったときに気になる箇所が参照しにくいので。

 

③ 悩まない親切設計

どのコースも難易度低めに設定してくれてますし、コメント機能で親切に誘導までしてくれます。こういう講座とか勉強をやめちゃうときって、大概行き詰まって嫌になるパターンだと思うんですよね。そんな心配もいりません。

コースを進めていくと途中から有料会員限定になりますが、無料分でも入門の入門としては十分な量に触れられます。とりあえず無料で試してみて、気に入ったら有料で登録というので全然大丈夫です。

 

言語選びで悩む方へ

なんか色々言語があるけどどれを選べば...?という人はこちらを。

Java
→とってもメジャーで他の言語にも流用できる高い汎用性。コスパが高いと噂のGO言語と構文も似ている模様です。悩んだらJavaで間違いありません。私もJavaから入りました。

Python
→文法がシンプルで書きやすく読みやすいです。WEBアプリ・機械学習・データ分析と、ナウい分野での活躍の場が用意されています。個人的に一番好き。

JavaScript
→WEBサイト・WEBアプリの開発で登場します。Google App Script(通称GAS)はJavaScriptで動かすので、事務作業の効率化を目指す方はこちらを。一緒に見せかけてJavaとは違う言語です。

 

ちなみにわたしの進捗状況はこんな感じ。

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3.最後に

プログラミング書籍とか動画講座はいっぱいありますけど、そういうのでインプットから始めると長続きしないと思います。だって面白くないから。読んでるだけ聞いてるだけだと理解もできないし。

私の最初のプロダクトは「FizzBuzz」という数字あてゲームでした。ほんとに簡単なプログラムで作れる&PC上でしか動かないという、人に見せられるレベルのものじゃありません笑

そんな程度のプロダクトですが、今でもできあがった時の嬉しさを覚えてます。「自分が書いたコードでシステムが動くって快感...!」という新鮮な気持ち。やっぱ楽しいと続きますし楽しくないと続かないですね。

というわけで、こまごましたインプットはまた後で。まずはコードを書く楽しさを感じるところからいきましょう!

 

 

 

(そういうと、契約書ができあがったときにそんな快感を感じたことってあったっけ...)

法務からジョブチェンするために 転職活動のふりかえり

いつもの部署飲み会~

五回欠席 テ・ン・シ・ョ・クのサイン~

ずっとこころに描く転職予想図は ほら

思ったとおりにかなえられなくなる日が来るので、その時のテンションや安易な気持ちでジョブホッピングは危険です。

普段から転職系の話題呟いたりしてますが、私はポンポン仕事を変えることに対して否定的です。ぱっと履歴書見た時の悪印象半端ないですよ。
20代で3社目を迎える私に言われても何の説得力もないと思いますが。うう...

 

さあ気を取り直して本題に。

TL見ていると私同様「今までの経歴法務オンリー&無資格」という点に焦りを感じている人がいらっしゃるようですね。とすると当然ジョブチェンも視野に入ってくるかと思います。自分のジョブチェン体験談を記録しておきますのでご参考になれば。

 

1.チャンスにめぐり合う回数を増やす

① 早いうちに人材エージェント・転職サイトに登録を

 採用する・される側の両面で市場を見ていましたが、強烈な売り手市場というのは間違いないという実感です。とはいえ、いくら売り手市場でも未経験の人に対する目線は厳しいなというのも実感です。

 一応法務での登録もしていましたが、大した経歴でもないのになかなかの数のオファーメールが届きました。対して希望していたマーケティング・データアナリスト系オファー数は比較するのも悲しいくらい少なかったです。

 求人にも必須要件に「●年以上の経験」みたいなのが入っているのはざらです。未経験歓迎というまともな求人はかすかにしかありません。

 今回の自分の数値をお話ししますと、法務以外職種で応募した7個の求人のうち書類が通ったのは1個だけです(決まったところ、紹介で通してもらったところは除いてます)。少なくとも楽に突破できる壁でないことはお分かりいただけるかと。

 

 ということで、ジョブチェンしたい場合は結構な運が必要になります。運が良い状況の典型例は、企業が妥協し始めているタイミングと巡り合うということです。

 担当者がたまたま抜けた/拡大したい分野だけど人が集まらないなどの理由で「ポテンシャルありそうなら」「若くてシャキッとしてれば」「変な奴だけどもう誰でもいいや」と妥協し始めてる状況のことで、自分の場合は最後でしょうね。やかましいわ。変なのは認めるけど。

 

 そんなラッキーな状況に遭遇する確率って相当低いと思います。確率が低いならトライする・自分を見てもらえる回数を増やすしかないでしょ、ということで登録は早めにしておきましょう。市場に出るタイミングが早ければ早いほど見てもらえる機会も増えます。

 転職サイトやエージェントは登録や使ってるだけなら無料のところばっかりです。たまに例外あるけど。自分の市場価値を知る良い機会にもなります。

 

② 希望職種や分野のチェックボックスを入れておく

 未経験分野でも全然OKなので、やりたい職種にチェックボックスは入れておきましょう。自分の場合も希望職種の欄を見てエージェントがコンタクトを取ってくれました。「今までの経歴からはちょっと違う案件ですが、希望もされてるようですしこんなのどうでしょう」旨の紹介を受けて、面白いので受けてみましょうかーと選考に進んで決まったという経緯があります。

(あまりにも的外れな提案をされるとそれはそれでうっとうしいけど)

 

 希望職種に管理系だけを入れておくとオファーはいっぱい届くのですが、管理系を希望している管理系経験者にはジョブチェンの提案オファーは来ないです。当たり前も当たり前の話ですね。

 

2.チャンスを逃さないために

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 ここまでは、自分を見てもらえる回数・トライの回数を増やしてチャンスが巡ってくるようにしましょう、という話でした。次は巡ってきたチャンスを逃さないために何を準備すればよいのかという話です。チャンスの女神には前髪しかないっていうじゃないですか。とんでもない髪型だとは思いますが。

 

法務以外の仕事に触れる機会を作る 

 法務単体の業務が暇になってきたこともあり、いろいろと別のお仕事のお手伝いをしていました。基本は法務だけどマーケとか会社ツイッターの運営とか。
 ※「仕事でもやってるってどんだけツイッター好きなん」とツッこまれると返す言葉がないです

 

 いくら未経験職種への転向とはいえ、新卒ではなく社会人経験者の中途採用です。当然「やりたいこと」ではなく次のお仕事に活きるであろう「やったこと」を伝えることが求められます。経験が事務職しかないとここが本当につらいところで。

 契約書を●件PDF化しました系の事務作業が活きないのはもちろん、法務のメイン業務である契約書審査のスキルも良いアピールにはなりません。社内法律相談によるトラブル解決もよっぽど大きい案件でないとパンチに欠けます。法務業務の経験はジョブチェンアピールにすっごく使いにくいです。

 ですので、ジョブチェンを見据えるなら意識的に純粋な法務以外の業務に手を出して経験してみないといけません。いざ雇ってみたら「事務作業しかできない、対人スキルが低い、利益を追求しようとする姿勢に欠ける」などの、世間一般が考える事務職のネガティブポイントは自分にあてはまらないんだぞ、ということをアピールできる実績が欲しいです。

 

 自分がやったことは以下。全部やらなくていいというか、自分は会社の規模が小さいがゆえに好き放題できただけですので参考程度にしかならないと思います。会社や自分の立場に応じて、ジョブチェン先の職種に活きそうな仕事ができる場を作り出しましょう。

 

〇 管理系

クラウド系新規サービス導入
→「問題意識を持って新しく何かを始める」という良いアピールになります。クラウドサインとかの電子契約サービスを導入できるとトレンドに敏感ですアピールもできていいですね。法務に関係ない人でも理解できるよう理路整然と「ハンコはなくても契約はできるんです!(キリッ」ということが説明できるとバッチグーです。労務寄りならSmartHRとかもおススメ。

・人事制度構築(フレックス導入するとか)
→同上。クラウドサービス導入より社内調整が強く入ってくるので、社内折衝力の観点ではこちらが優れています。労働法の知識や感覚が必要とされる業務なので法務が進出しやすい分野といえます。労力はかかりますが...

 

〇 管理系以外

・ 他職種のお手伝い
→兼任しやすいのはマーケとかプロモーションとか。デスクワークで完結しやすい業務が兼任しやすいです。一日外出が前提の営業とかは物理的に難しいですね。とはいえどうやって兼任させてもらえばいいのよ、という疑問が出るかと思います。ここだと長くなるので別記事で解説します。

・ コードが書けるようにする(ホントにちょっとでいい)
→どうやってプログラミング学べばいいのよ・学ぶとしてどこまでやればいいのよ、という疑問が出るところかと思います。ここだと長くなるので別記事で解説します。

 

普段から人前で喋る機会を

 話ベタで良いことなんて何もないです。面接でアウアウしている姿を見て「口下手なのは誠実で実直な証なんだろうな」と評価してくれる人いません。

(噂レベルですが、エンジニア界隈だと「これだけしゃべりがヤバいのにキャリアを詰んでいるのは技術があるんでは」と推測されるとかされないとか...。まあ少なくとも法務は関係ない。)

 ちなみにうまく喋れると堂々としゃべるというのは別物ですし、基本的にうまく喋れなくても堂々としゃべればOKです。人前で喋れるかどうかなんて所詮は慣れでしかないので、MTGに出たら発言/社内の勉強会講師/年末のLegalAC打ち上げなど、部外の人と交流して話す機会を作りましょう。何度も言いますけど慣れでしかないです。

 

3.面接で伝えること

 やりたいことではなくやったことが大事とは書きましたが、所詮は未経験者が片手間でやったことです。実績の凄さで言うと経験者に見劣りするのは間違いなく、そう考えると新たな職に対するモチベーションや想いを表現するのが大事です。法務の経験は活かしにくいとはいえ、なんとかして理屈をひねり出して「採用側の役に立つ」と伝えることも同様です。

 

モチベとやる気

 私の場合、普段から思っていること・ちょくちょくツイッター上でも表現しているような内容を率直に伝えました。エンタメやITが好きで、特にデータ分析好きなんですと。事務職だけのキャリアを変えたくて、自分で稼げるようになりたし、独り立ちできるようになりたいんです!と。

 長く論理的な話をするビル・ゲイツの講演より、短く感情的な言葉で話をするジョブズのプレゼンが心を動かす(スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン をご参照)ということもあり、感情を押し出すことに重点を置きました。やりたいことを伝えるのにロジカルなんて不要だと思ってましたし。

 

活かせる法務の経験

 可能な範囲でよいので、今までやってきた法務の仕事がどう次に活きるかも整理して伝える必要があります。誤解なきように行っておきますが、マーケティングやアナリストを専任でやってましたみたいな嘘はついてません。~のお手伝いをしてました、会社のSNS広報も兼任してます、といった感じできちんと事実を伝えてます。

 あとは法務をやってて得たもの(三段論法、文書の書き方、自己研鑽を続ける大切さ...etc)を伝えて、その経験がどう活きるのかを自分なりに表現して、その結果採用ということになりました。契約の相場観や締結までのノウハウを知っている、業界の動向やトレンドを追っていてそれを業務に活かしているという点を評価してもらったという感覚です。

 

まとめとオマケ

 以上、転職活動を振り返りながらの私の法務ジョブチェン記でした。詳細なところを書くと長くなり過ぎるので、細かいノウハウとかやるべきことは別エントリーでご紹介します。他にもご質問とかリクエストありましたら、コメントでもリプでもいいのでお送りいただけると嬉しいです!

 

 で、オマケ(と言いながら大事だと思っている)話です。

 第一印象についてメラビアンの法則というものがあります。初対面の人間を判断するときどの要素を重要視するかという点につき「視覚」が55%を占めるという研究です。詳細はググってね。同じことを発言しても最初の印象が良いと好意的に受け止めてもらいやすく、印象が悪いと悪く受け止められがちで挽回も難しいです。

 対面でやりとりするのが1時間程度しかない面接で重要な位置を占めるのは第一印象です。自分が面接する側に立っても大事だよなあとつくづく思います。誰だって不潔で陰気な人より清潔感があってさわやかな人と働きたいと思うでしょう。では「清潔感があってさわやか」と思ってもらうためにどうすればよいか。

 

痩せましょう

 

 ご飯やパンを制限し、飲み会ではハイボールと焼酎しか飲まないなんて努力をしてたのは転職活動を見据えていたからです。この歳になって。もちろんサッカー的も観点もありますが。

 痩せることによる効能がピンと来ないという方、ド定番ですがライザップさんのCM集をご覧あれ。同じ人でもライザップ前と後でここまで違うんですよ!?

www.youtube.com

 

 短期間で無理なダイエットすると、栄養不足で貧相になるとかリバウンドのリスクもあります。日頃からちょっとづつでいいので糖質制限始めませんか?

 

まずはご飯の大盛りをやめるところから

 

 

おかわりもダメよ

法務、お休みします

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前から決めていたことでした。

契約書タイムバトルでタイトルを取れなかったら法務を引退しようとーーーー

 


嘘です。といっても完全に嘘ではないので正確に言いますと

転職と共に法務以外の分野にジョブチェンすることになり

(ましたけど、別に今後法務をやる可能性が完全に消滅したわけではありません。復帰の可能性は高くないですが...)

転職&ジョブチェンはタイムバトル前に決まっていた

というのが真相です。

 

勝負事の前に転職の話を先に言うのは、なんだか保険をかけてるというか「もう法務じゃなくなるから法務分野の勝負は負けてもしょうがないよね」みたいな雰囲気を出してしまうのが嫌だなと思いまして。そういったメンタルあってこその堂々の4位入賞でしたし。キリッ。

(キャリア区切りの舞台という意味でも最高のイベントでした。返す返すも感謝申し上げる次第です。)

前々から受験を宣言していた予備の択一も終わって(掛詞)、リーガル的なイベントが全て終わったこのタイミングでお知らせすることになりました。

 

ちなみにジョブチェン先の職種は、法務のキャリア論として話題を博した無資格法務のキャリアパスの分類で言うと、大項目では別職種ルートになりますが小項目で言うと当てはまるものがどれでもない職種となりました。

法務はもちろん管理系の職種ですらないので我ながらナナメウエな選択をしてしまったなと。

 

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転職の話を打ち明けると、上司はもとより最近会った方にも「えーびっくり」という反応をいただきました。変な言い方ですが自分でも意外な転職でした。

家からチャリで通えるぐらい職場は近いし、フレックスの活用で仕事とプライベートの両立ルーティンも確立しつつありました。何より上司や同僚に恵まれたおかげとってもありがたい評価を受けていて。

正直凄く快適な空間を作れてはいたのですが、せっかく作ったコンフォートゾーンに安住すればとても楽なのですが、安住しようとすると私の中の天使が絶えずこう囁いてくるのです。

 

「...で?君今年でいくつになるんだっけ?30歳?新卒で就職してからずっと事務職で30歳って危ないんじゃない?潰しきかなさ過ぎない?」

「え?法務なのに弁護士資格も持ってないって?無資格法務って本来的に「別にいなくてもなんとかなる」ってリスクをはらんでると思うけど、君はどうやってそのリスクをヘッジするの?」

「英語やIT系の知識を追求していく?現職って英語・ITに関係する業務一割ぐらいしかないけど、アウトプットのないインプットだけでスキルが伸びると思ってるの?第一そのふたつなんて最近の法務ならマストで持っとかなきゃいけないスキルであって、強みになんてならなくない?」

「興味があるマーケティングやエンジニアにジョブチェンすればいい?へぇー。あるんだ。30手前になって未だに事務職しかしたことのないあんたを、法務以外の職種でまともな待遇で雇ってくれるやさしくて奇特な企業さんが。本気で言ってたら超ウケるー」

「同じ要領だけど、やりたいやりたいって言ってるサッカー関係の仕事とか社外取締役として色んな企業さんと仕事するなんて、事務職しかしたことのないあんたに回ってこないのは間違いないと思うよ。」

「働きながら予備試験合格を目指す?なかなか気概のある選択肢だと思うけど、合格率4%の試験に受かる余地を残すってちゃんとしたリスクヘッジになってると思う?」

 

...ほんまに口の悪い天使でいらっしゃることで。ぶぶ漬けでもどうどすか。

 

まあ、口は悪いですが言っていること自体は的を射ています。正直なところ、ロクに自分でお金を稼いだことのない、しかも管理系職種の中では重要度が落ちる法務(落ちる理由は拙稿「企業法務はくだらないのか」をご参照)しかやったことのないアラサーという自分を冷静に見ると、これは相当ヤバイなという感覚しか持てませんでした。

 

※1
あくまで「私個人の今までの経歴・スキル・今後の展望から考えて」キャリアが詰みかねないと考えているだけです。リーガル系の人に対する悪口みたいな感じになってますが、企業内法務という仕事を全否定したいわけではありません。くれぐれも念為。

※2
というか、自分の評価や法務以外の職種の要領でさえも全て法務をやったからこそ得られた・身に付いたものです。法務なんてやらなきゃよかったと思ったことはないですし、法務をベースにしたからこそ違う舞台に移ることが、つまりリーガルでレバレッジかけることができました。って言いたかっただけなんですけどね。

 

法務を嫌いになったわけではないので今後も情報は追っていきますし、法務に活きる別職種の経験的な観点から発信するつもりです。今後もブログ・ツイッターをご覧いただけると嬉しいです。

予備試験もお休みであって引退ではありません。「試験のための試験を受けないといけない」みたいないびつ極まりない現状が正されて、旧試験のように一発でいける時代が戻ってくると信じてます。そんな機会を虎視眈々と狙っていきたいなと。諦めが悪いとか言わないの。

 

 

法務から異業種に転向てそれなりにレアケースだと思いますので、どういう転職活動したのか・どうすればジョブチェンできるのかみたいな話はドヤ顔で別記事に記す予定です。

少ないながら溜め込んだノウハウやスキル系の話も書けるだけ書いていこうと思いますので、引き続きよろしくお願いします~

クラウドサインを導入した感想を書くよ

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 契約書をクラウドサービスで完結させるキラキラ系IT企業を目指してクラウドサインを導入したのが1ヶ月ほど前。導入したてでたいした件数使ってませんが、使ってみて便利な点や追加されるといいのになあと思った機能をピックアップしました。導入を悩んでいる皆さんの一助になればということで感想を記します。

(導入が捗って弁護士ドットコムの株価が上がれば...という下心があるとかあるとかあるとか。先日の伸び凄かったですね。)

 

1.導入までの流れ

契約書の取交わしにあたって、当社が特に問題と感じていた点は以下の3点

 

① オフィス間をまたぐことで書類の所在が不明になるトラブル

 担「本社に送った書類(契約書、発注書など)は捺印してもらえました?」
 私「そもそもこっちに来てませんぞ?」
 担「えっ」
 私「えっ」


 ...社内便なんてものが存在しない会社だと、書類のステータスが誰もわからないという嫌な事態がしばしば発生しちゃうのです。

 発送するたびにこまめに連絡取れば防げる事態でしょうけど、そういう人の「めんどくさい」という気持ちを想起させる対策はいつか破綻するので対策と呼ばず。この無駄極まりない無駄はクラウド上でやりとりすれば減らせるんではないかなーと

 

② 捺印のたびに毎回金庫を開ける捺印者(マネージャー)の負担

 当然ですが、ベンチャーの捺印権限者はハンコを押すためだけに一日席に座っているなんてことはありません。基本は多忙ですし、本業がある以上当然本業の合間に溜まった捺印書類をまとめて捺印することになります。権限者の出張がそれなりに多い当社なんかですと不在期間は全て捺印がストップすることになり結構なロスが生じちゃいます。

 

③ 製本・送付・管理する法務の負担

 ひよっことはいえ法務暦約6年にもなりますので、製本テープ使ってどれだけ綺麗に製本できるかとかみたいな自己満足からは卒業したいところです。

 契約書のやりとりって単純作業に思えますけど①契約書2通作って②送り状作って③封筒にあて先と自社の情報書いて④投函って意外に時間食ってますからね。外出含めたら5分では足りないのではと思います。積み重なったら相当な時間ですよ。

 

 

 そんな悩みを解消するため、サービスの概要を説明したところ上長からの食いつきも良く、TL上ではっしーさんから熱いオファーもいただいたので弁護士ドットコムさんに行ってサービス内容を説明してもらいました。

 即決はせず持ち帰って検討したのですが、営業の方がクイックレスポンスで的確に質問に対応していただいたのが印象的。うっとうしい電話攻勢は全然ないけどこちらが質問したらしっかり対応してくれるので「いかにもなイマドキIT企業の営業やな笑」と上司とキャッキャしてました。

 

 一応GMOアグリーも比較はしましたが、HP上に記載されている導入事例紹介が寂しかったりデザインがピンとこないという理由でクラウドサインをチョイス。料金とかは大差なかったので最後は感覚な所も。

 リグシーさんの「Holmes」は、クラウドサインの導入を決めてからサービスの存在を知りましたので選択対象に入らず。士業連携機能とか面白い機能が揃ってるし使い勝手がとても良さそうなので、先に知ってたら有力な検討対象になってたと思います。

 

2.クラウドサインの良いところ

圧倒的なお手軽感

 使ってみて実感しますが、PC&クラウド上でやりとりが完結するというのはすごーくすごーく手軽で便利です。スピーディーに締結できるという点について同僚からの評価もおおむね好評なので嬉しい。

 当初の課題を考えても①契約書の所在が分からないという事態はもちろん発生してませんし②捺印権限者の上司からも「外出先からでも捺印できるのチョー楽なんだけど」とギャルのような喜び方をされ③わずらわしい作業から開放された私は本業が捗って仕方がありません。

 契約書取り交わしというお堅い業務にクラウドサービスというイマドキのものを使うので、先方からの質問が多いと結局対して楽にならないリスクが...という懸念はありましたが、利用を打診した相手からもそこまで質問されることは少なく対応に時間も使ってません。

 あと、ボタン押下だけで最後まで完結するというのは最高にステキですね。これはDocuSignとの比較なのですが、DocuSignはタッチパネルとか写真読み込みでのサインが求められますし、なにやらいろいろな機能があって受信者側としては理解するのが大変です。受信者側が理解するの大変=発信者側は理解の助けになる説明が必要ということで手間が増えます。ボタン押下だけだとそんな心配も不要なのがありがたいです。

 

チャットサポート

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 画面右下にあるのがチャットサポートの部分。クラウドサインさんも強くアピールしてる機能ですが、質問したら返信返ってくるのが早いこと早いこと。15:07に私が質問して返信もらったのが15:11なので所要時間4分。いくら日中の時間帯とはいえこれは早い...!

 新規のサービスなので細かい疑問は出ますし、社内や先方から質問された時にとても重宝しています。さくっと聞きたい...でもあまりにも細かい内容だからメールとか電話するのはばかられる...みたいなことを悩む必要なし。ちょっとでも引っかかったらすぐに連絡するスタンスでいれるのは凄く便利です。

 

3.今後に向けてのリクエス

最後に「ここが改善されると嬉しいなー」みたいなポイントを。

承認ルート固定設定機能

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 こちらが契約書の承認ルートを決める画面です。現状だと承認者を直接入力する(左側の黄色○)かアドレス帳からひっぱってきて(右側の黄色○)入力するかのどちらか方法しかないんですね。登録者の上長を自動で設定できないので送信の都度入力しなくちゃいけないのと、設定者次第では承認権限者を外すことができてしまいまして。悪意があるとまではいかなくてもうっかりで外れてしまうことはあると思うので、これはガバナンス的にちょっとなというところです。

 弁護士DCの方いわく同様のリクエストは上がってきているみたいですので、機能追加されるといいなーと期待。

 

PDF自動変換機能

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 ご覧のとおり送信する書類はPDF限定なんですけどね...なんといいますかその...

 いちいちワードをPDFに変換するの、めんどくさいなあって...それぐらいやれやっていう意見はごもっともなんですけどね...笑

 なので、ワードをドラッグ&ドロップしたらPDFに変換してくれる機能がついてくれると嬉しいなと。これはホントに必要ではなく有ると嬉しい程度なんですが、やはり面倒なことは少なければ少ないほどいいよねって思いません?笑

PDF変換機能付きプランは月額ちょっと高くしたりとか、そういう手当てで解決していくのもいいんじゃないですかね。適当に言ってますけど。

 

まとめ

 以上色々と書きましたが、感想は「導入してよかった!」の一言に尽きます。

 PDF化とか細かい作業は発生しますが、いちいち送り状作ったり封筒にあて先書いたりするよりかは圧倒的に早く便利ですね。導入に悩んでいる企業さんはとりあえずトライアル的に試してみるだけ試してみればいいんじゃないかなと。固定費用1万しかかからないですし。

 

ぼそっと一言

 クラウドサインってSaaSなので、PCへのインストールとかそういう作業がなくて導入の手間に関しては凄く楽な方のサービスだと思うんですね。しかも当社はベンチャー&業務効率化のためのクラウドサービスに理解の有る上司がいるといった、新規のサービスを導入できる土壌が整っている環境でした。

 にもかかわらずですよ。導入のために動き始めたのが去年の12月で、正式に導入できたのが4月の頭と結局半年近く消費してしまいました。冷静に振り返ってみると結構な衝撃でしたし、簡単に見えることでも「新しく始める」というのはこんなにも難しいものなのかと。新規分野開拓しようとする人マジリスペクト。パないっす。「新規サービスの導入経験者歓迎」みたいな募集要項をよく見かけますが、なるほど納得でございます。

 大小問わず新しいことを始めるというのは、とてもエネルギーを消費するけれど簡単には得られないとても良い経験になるなと思いました。