リーガル・レバレッジ

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コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

クラウドサインを導入した感想を書くよ

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 契約書をクラウドサービスで完結させるキラキラ系IT企業を目指してクラウドサインを導入したのが1ヶ月ほど前。導入したてでたいした件数使ってませんが、使ってみて便利な点や追加されるといいのになあと思った機能をピックアップしました。導入を悩んでいる皆さんの一助になればということで感想を記します。

(導入が捗って弁護士ドットコムの株価が上がれば...という下心があるとかあるとかあるとか。先日の伸び凄かったですね。)

 

1.導入までの流れ

契約書の取交わしにあたって、当社が特に問題と感じていた点は以下の3点

 

① オフィス間をまたぐことで書類の所在が不明になるトラブル

 担「本社に送った書類(契約書、発注書など)は捺印してもらえました?」
 私「そもそもこっちに来てませんぞ?」
 担「えっ」
 私「えっ」


 ...社内便なんてものが存在しない会社だと、書類のステータスが誰もわからないという嫌な事態がしばしば発生しちゃうのです。

 発送するたびにこまめに連絡取れば防げる事態でしょうけど、そういう人の「めんどくさい」という気持ちを想起させる対策はいつか破綻するので対策と呼ばず。この無駄極まりない無駄はクラウド上でやりとりすれば減らせるんではないかなーと

 

② 捺印のたびに毎回金庫を開ける捺印者(マネージャー)の負担

 当然ですが、ベンチャーの捺印権限者はハンコを押すためだけに一日席に座っているなんてことはありません。基本は多忙ですし、本業がある以上当然本業の合間に溜まった捺印書類をまとめて捺印することになります。権限者の出張がそれなりに多い当社なんかですと不在期間は全て捺印がストップすることになり結構なロスが生じちゃいます。

 

③ 製本・送付・管理する法務の負担

 ひよっことはいえ法務暦約6年にもなりますので、製本テープ使ってどれだけ綺麗に製本できるかとかみたいな自己満足からは卒業したいところです。

 契約書のやりとりって単純作業に思えますけど①契約書2通作って②送り状作って③封筒にあて先と自社の情報書いて④投函って意外に時間食ってますからね。外出含めたら5分では足りないのではと思います。積み重なったら相当な時間ですよ。

 

 

 そんな悩みを解消するため、サービスの概要を説明したところ上長からの食いつきも良く、TL上ではっしーさんから熱いオファーもいただいたので弁護士ドットコムさんに行ってサービス内容を説明してもらいました。

 即決はせず持ち帰って検討したのですが、営業の方がクイックレスポンスで的確に質問に対応していただいたのが印象的。うっとうしい電話攻勢は全然ないけどこちらが質問したらしっかり対応してくれるので「いかにもなイマドキIT企業の営業やな笑」と上司とキャッキャしてました。

 

 一応GMOアグリーも比較はしましたが、HP上に記載されている導入事例紹介が寂しかったりデザインがピンとこないという理由でクラウドサインをチョイス。料金とかは大差なかったので最後は感覚な所も。

 リグシーさんの「Holmes」は、クラウドサインの導入を決めてからサービスの存在を知りましたので選択対象に入らず。士業連携機能とか面白い機能が揃ってるし使い勝手がとても良さそうなので、先に知ってたら有力な検討対象になってたと思います。

 

2.クラウドサインの良いところ

圧倒的なお手軽感

 使ってみて実感しますが、PC&クラウド上でやりとりが完結するというのはすごーくすごーく手軽で便利です。スピーディーに締結できるという点について同僚からの評価もおおむね好評なので嬉しい。

 当初の課題を考えても①契約書の所在が分からないという事態はもちろん発生してませんし②捺印権限者の上司からも「外出先からでも捺印できるのチョー楽なんだけど」とギャルのような喜び方をされ③わずらわしい作業から開放された私は本業が捗って仕方がありません。

 契約書取り交わしというお堅い業務にクラウドサービスというイマドキのものを使うので、先方からの質問が多いと結局対して楽にならないリスクが...という懸念はありましたが、利用を打診した相手からもそこまで質問されることは少なく対応に時間も使ってません。

 あと、ボタン押下だけで最後まで完結するというのは最高にステキですね。これはDocuSignとの比較なのですが、DocuSignはタッチパネルとか写真読み込みでのサインが求められますし、なにやらいろいろな機能があって受信者側としては理解するのが大変です。受信者側が理解するの大変=発信者側は理解の助けになる説明が必要ということで手間が増えます。ボタン押下だけだとそんな心配も不要なのがありがたいです。

 

チャットサポート

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 画面右下にあるのがチャットサポートの部分。クラウドサインさんも強くアピールしてる機能ですが、質問したら返信返ってくるのが早いこと早いこと。15:07に私が質問して返信もらったのが15:11なので所要時間4分。いくら日中の時間帯とはいえこれは早い...!

 新規のサービスなので細かい疑問は出ますし、社内や先方から質問された時にとても重宝しています。さくっと聞きたい...でもあまりにも細かい内容だからメールとか電話するのはばかられる...みたいなことを悩む必要なし。ちょっとでも引っかかったらすぐに連絡するスタンスでいれるのは凄く便利です。

 

3.今後に向けてのリクエス

最後に「ここが改善されると嬉しいなー」みたいなポイントを。

承認ルート固定設定機能

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 こちらが契約書の承認ルートを決める画面です。現状だと承認者を直接入力する(左側の黄色○)かアドレス帳からひっぱってきて(右側の黄色○)入力するかのどちらか方法しかないんですね。登録者の上長を自動で設定できないので送信の都度入力しなくちゃいけないのと、設定者次第では承認権限者を外すことができてしまいまして。悪意があるとまではいかなくてもうっかりで外れてしまうことはあると思うので、これはガバナンス的にちょっとなというところです。

 弁護士DCの方いわく同様のリクエストは上がってきているみたいですので、機能追加されるといいなーと期待。

 

PDF自動変換機能

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 ご覧のとおり送信する書類はPDF限定なんですけどね...なんといいますかその...

 いちいちワードをPDFに変換するの、めんどくさいなあって...それぐらいやれやっていう意見はごもっともなんですけどね...笑

 なので、ワードをドラッグ&ドロップしたらPDFに変換してくれる機能がついてくれると嬉しいなと。これはホントに必要ではなく有ると嬉しい程度なんですが、やはり面倒なことは少なければ少ないほどいいよねって思いません?笑

PDF変換機能付きプランは月額ちょっと高くしたりとか、そういう手当てで解決していくのもいいんじゃないですかね。適当に言ってますけど。

 

まとめ

 以上色々と書きましたが、感想は「導入してよかった!」の一言に尽きます。

 PDF化とか細かい作業は発生しますが、いちいち送り状作ったり封筒にあて先書いたりするよりかは圧倒的に早く便利ですね。導入に悩んでいる企業さんはとりあえずトライアル的に試してみるだけ試してみればいいんじゃないかなと。固定費用1万しかかからないですし。

 

ぼそっと一言

 クラウドサインってSaaSなので、PCへのインストールとかそういう作業がなくて導入の手間に関しては凄く楽な方のサービスだと思うんですね。しかも当社はベンチャー&業務効率化のためのクラウドサービスに理解の有る上司がいるといった、新規のサービスを導入できる土壌が整っている環境でした。

 にもかかわらずですよ。導入のために動き始めたのが去年の12月で、正式に導入できたのが4月の頭と結局半年近く消費してしまいました。冷静に振り返ってみると結構な衝撃でしたし、簡単に見えることでも「新しく始める」というのはこんなにも難しいものなのかと。新規分野開拓しようとする人マジリスペクト。パないっす。「新規サービスの導入経験者歓迎」みたいな募集要項をよく見かけますが、なるほど納得でございます。

 大小問わず新しいことを始めるというのは、とてもエネルギーを消費するけれど簡単には得られないとても良い経験になるなと思いました。