リーガル・レバレッジ

リーガル・レバレッジ

コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

法務×コンサル【法務系Advent Calendar2日目】

これは法務系 Advent Calendar 2018のエントリーになります。

発起人のkaneko(@kanegoonta)さんからバトン受け取りました。企画ありがとうございます!

 

エントリー内容の前提になるので、先に軽く自己初回させてもらいます。

新卒からずっと法務をメインにやってきたのですが、訳あって法務をやめてコンサルに転身することになりました。キャリア論メインではないのでジョブチェン理由の深掘りは避けますが、無資格の自分が法務オンリーでキャリアを続けていくというのはあまりに厳しい、と考えたのが一番の理由です。

 

最近法務のキャリア論が盛んですよね。私同様法務オンリーであることに危機感を抱いている方、「法務以外のジョブチェン」を意識されている方も多いと見受けます。そんな方のご参考になればということでこのエントリーです。

 

転職前から感じていたのですが、コンサルに転身する弁護士って多いなと。じゃあコンサルとリーガル系の仕事って何か共通点あるんじゃないの?活かせるポイントあるの?あたりが働く前の仮説だったのですが、実際働いてみてどーよ、という話をしていきますね。

 

(法務やめたくせになんで法務系アドベントカレンダーに投稿してるの?別れた彼女にしょっちゅう「最近どう?」とかLINEする未練がましいタイプ?とか言わないこと)

 

定義を確認して共通点を考えよう

法務とコンサルを比較していきますが、比較に当たって定義の確認はマストです。特に「コンサル」ってふわっとしてますからね。

 

コンサル 法務 
ある特定分野において専門的知識と経験を有し,顧客の持込む問題に対して相談に応じたり,助言を提供したりすることを職業とする人をいう。経営全般の問題あるいは技術に関しての相談,助言を行なっている。 企業内においては、法務部門等が担当する、事業活動にともない発生する法律問題の対応・指導、契約起案・交渉支援、株主総会・取締役会の事務局業務、コンプライアンス等内部統制の事務局業務等の諸活動をいう。 

 

それぞれの定義、イメージ通りですし両職を経験した私の感覚でも違和感ありません。では共通点を探しましょう。皆さんも一瞬でいいので探してみてください。

 

どれどれ...おっ、ありましたね。

どちらにも明確に「問題」というキーワードがあり、多少言葉の違いはありますが問題への「対応」をする旨の表現があります。

問題に対応するのがコンサル、法律問題に対応するのが企業法務、と整理できますね。これを煮詰めていくと

 

「つまり…法務はコンサルに似ているのではなく、実はコンサルそのものだったんだよ!」

 

ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー

 

...はい。

ちょっとネタに走りましたが、これで言いたいことの半分ぐらいは書いてしまえました。コンサルと法務は別物ではなく「コンサル」という大きな円の中のリーガル領域に「法務」が存在するイメージです。

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「お客さんとトラブった!助けて!」といったいかにも問題チックな案件への対応に限らず、理想的な契約条件での契約締結ができない現場の人をサポートするのもコンサルティングですし、社内の煩雑な法務への依頼フローを整備して現場の負担を減らしてあげることもコンサルティングです。

きちんと法務のお仕事をしている方は、一言で言ってしまうと企業法律コンサルタント(非弁くせー)であるというのが私なりの定義です。

 

 

一点だけ補足しておくと、企業法務やってる人間=コンサルでないパターンが一部存在します。メルペイ鈴木さんの記事でも言及されていますが、社員に指摘し、怒り、それに陶酔している人がコンプライアンス担当(イコール法務と考えます)には多いと。

私もそう思いますし、法務は特にそんな人が多いと感じます。業務に影響しない誤字脱字や体裁ばかりの指摘に終始する人、トラブルがあって相談に来た現場にマウント取って悪口ばっかり言ってる人、そういった勘違い種族の方々は一切問題解決に資することをしていないので、法務であってもコンサルの枠内には存在しません。

 

上記であえて「きちんと法務のお仕事をしている方」と付け加えているのはそんな意図ございます。

 

具体的な共通点・相違点

世の中にある職業のほとんどは問題解決が絡みます。自社製品を売ることでクライアント問題を解決するのが営業で、プログラミングで解決するのがエンジニア、というとしっくりくると思います。

なので、法務とコンサルが問題解決という点で共通するのはある意味当然です。ここからはもう少し具体的な所で共通点を探っていきます。(具体的といっても個別案件には絶対触れられないので、具体性には限界がありますが...)

 

共通点①

まず、プロダクトが製品やコードではなく「考えた結果のアウトプット」という点です。この共通点は、考えた内容が足りなければ怒られるのはもちろん、インプットは業界やビジネスに関するものだけでなくフレームワークや思考フローに関係するものまで必要になってくるということを意味します。これは後続の「インプット大事」や「コミュニケーション大事」という話に繋がります。

 

共通点②

コンサルと法務、どちらの職業もインプットが大事です。日ごろから知識を入れておいているとはいえ、準備していない案件やジャンルの相談が来ることも多いですよね。「新規事業系のご相談ですが」とか。コンサルもバッチリ自分が得意とする分野ばかりにアサインされるわけではありません。そういうときにできるのはただ一つ。関係しそうな本を読み漁って急速インプットです。

なので、俺はインプットが絶対嫌だ・本なんて読めないという方には向かない職業ですが、観賞用や積む用の本まで買ってしまう法務パーソンの皆様には要らない心配ですね!?(唐突に煽っていくスタイル)

 

共通点③

「コミュニケーション力」という言葉、世間に溢れすぎてて正直嫌いなのですが、共通点の中でもこれが一番大事なので外せません。コミュニケーションの内訳は「表現(伝える力)」「聞く(引き出す力)」です。

考えた結果をプロダクトにする以上、どれだけ良い考えができていも表現が拙いと台無しです(コンサル=スライド・プレゼンというの世間のイメージはこれが発端なのかなと考えています)。文章や図を交えて、相手にうまく理解・納得してもらうためには表現スキルを向上し自分のメッセージを相手にきちんと伝える必要があります。

 

そして、表現力(伝える力)と同じかそれ以上に聞く力が重要です。

「現状」を把握して「あるべき姿」を考えて出した「両者の差分」が解決の対象である問題である以上、その3点を外してしまうと成果物のクオリティは上がりません。

法務でいうと「これって法的にどう?」に代表されるように、クライアント側が問題を認識できていないパターンも多いですよね。なので、まずはクライアントとしっかりコミュニケーションを取り、場合によってはクライアントの認識外の点を使って問題点を見つけて、それをお互いの共通認識にする必要があります。単に聞くだけでなく、自分の知見を交えて提案や情報提供をしながらヒアリングしていく必要があるので、求められるスキルはとても高次元です。

なので、法務のヒアリングに慣れている方でしたら、コンサルのヒアリングもそこまで戸惑うことはないのかなと。

 

以上、主だった共通点でした。

では次に相違点いきます。

 

相違点①

解決の対象とする問題の範囲が全然違います。もちろんプロジェクトによりけりですが、法務のお仕事はあくまで法務に紐づいている問題なのに対し、コンサルの仕事の対象は限定がありません。規模間でいうと会社の戦略そのものを作成したり、システムを構想したり自治体と組んだり。種類で言うとデジタル技術やマーケティングのお話だったり。

法務時代がスタッフだった私なので、法務として見れる案件が大きくなかったというのは考慮すべきですけどね。それにしても業務の範囲が違うなあと。

 

相違点② 

法務ではリーガルの土俵で戦えるので、現場の人たちにそこまで深く詰められることはないですよね。リーガル面の話は法務に任せるよーというスタンスの人も多いですし。

対して、コンサルは完全にクライアントの土俵で戦うことになります。●●部の所属20年目みたいな方々を相手にして、自力では解決できない問題を解決しますよという話をしないといけません。インプットが重要なのは間違いありませんが、知っている・知っていないだけでは価値を出すのは難しく、法務以上に考える力が大切になってきます。考えるのはもちろん「アイデア出し」の面が強いのも大きく違うと感じるところです。

 

相違点③

法務は文章で表現するのがメインですが、コンサルといえばスライドなので図やグラフで表現します。コンサルに転身してからワードをまともに使った記憶がないですね笑

あえて説明するまでもなく、文章で表現するのと図・グラフで説明するのは全くの別物です。表現の方法やテクニックの部分ですが、慣れないと仕事に支障をきたします。もしコンサルへの転身を考えている方は明日からスライド作成の練習をしてみることをオススメします。

 

まとめ

一緒のところ、違うところ色々書いてあるけど、ぶっちゃけ法務からコンサルに転身したらどうなのよ?すぐ活躍できるのどうなの?と思ってらっしゃる方が多そうですのでまとめますね。

 

すぐに活躍なんてできるわけなかろう

 

...はい。身も蓋もありませんが。

ある程度共通点が多い・他職と比べて近いところが多いのは事実です。が、きつい言い方をすると「それだけ」というのが私の所感です。元コンサルの人やコンサル歴が長い人なんかと比べるべくもありません。

共通点に基づく伸びる土台はある(と信じている)ので、引き続き頑張っていきたいてとは思ってますよ。

 

ということで、企業法務レベル100がコンサルに転職するとコンサルレベル100にはならない、要するに現状維持は難しいというのは間違いないです。それどころかかなり低いレベルからスタートすることになるので、安易な気持ちでジョブチェンすると後悔する可能性は高いと思われます。

転身を目指すようでしたら、日ごろから問題解決できているかを自分で振り返ったり、可能なら経営企画などの職種を経験してからの方がギャップに苦しむリスクは低減できると思います。

 

自分の法務時代を振り返りまして、コンサルのスキルを流用しはじめてから法務のスキルが一段階上がった感覚を持てました。

コンサルに転身するにせよしないにせよ、リーガル系の業務に携わるようでしたら一度コンサルスキルを学んで損はないと言い切れます。ちょっと読むだけでも全然違うので、人気ありそうなコンサルのお仕事的な本をぜひ一冊どうぞ!

(エクセル術やスライド術じゃなく、コンサルのお仕事そのものにフォーカスが当たってる本ね)

 

長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!以上です!

お次は

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アーリー(@NH7023)さん!よろしくお願いします!

(写真、引用の範囲ということでいいですよね!?)