法務パーソンは法務業務以外もやるべきなのか？

話題になっている法務の業務領域論。

「法務の仕事じゃないんでは禁句って言われても...」と悩んでいる方向けの内容です。簡単な解決策付きで私の立場を書きます。
参考になると嬉しいです。

現職に移る前、アプリゲームを作っている会社に在籍していました。
ネコが登場する、ふざけた絵柄ながらやりこみ要素の深い不思議なゲームです。

私はもともとゲームが好きでした。しかも、人生で指折りの好きなゲームが自社のゲームです。
自社プロダクトをそこまで好きになれたのは幸運という他ありません。

仕事以外でも自社ゲームの話をするし
聞かれてもないのに次のゲーム内イベントの話をするし
法務業務に必要な情報を後回しにして目玉コラボの話をしていることも多々ありました。
（そんなテンションでいいんですよ）

仕事としてのドライな関係ではなく、自社ゲームへの愛を隠そうとしない私を開発の人たちは身近に思っていてくれたと思います。
独りよがりの想いだったら悲しい。
前任者が法務のプレゼンスを高めてくれてたことも相まってたくさん法務業務以外のお仕事をお願いされました。

お願いされる業務も決して雑用の押し付けではなく、複雑な論点・議論の整理やビジネス的な意思決定の補助などなど。
頭を使うしビジネスサイドの知識もいるし、プロダクトの理解もいるしといったとても面白いお仕事でした。

ゲームの開発からユーザに届けるまでの全体的な視点が養われましたし、ビジネスサイドの素養も強化することができました。
おかげさまで今世間で言うキラキラした職業(コンサル)につけています。
法務以外の領域をいっぱい担当して良かったなと心から思う次第です。

他方で、何でもかんでも法務以外の業務を引き受けるのは好ましくありません。

法務と言うのは管理系職種の側面が強い職種であり
事務系の仕事が苦手な前線部隊から雑務的な仕事のヘルプが来ることもしばしば。
何でもかんでも引き受けているとどうなるかというと

テイの良い雑用担当係として扱われて
引き受け続けていると断りにくくなり
いつしか前線部隊からは「感謝」ではなく「やって当たり前」の目線が向けられることになります。

ただでさえ人が少ないのに労働集約的な性質のある法務としては、上記の状態に陥るととっても大変です。
めんどくさい仕事を担当するだけの「便利屋」になりかねません。
というか、実際になっている人たちを見たこともあります。

法務領域外の業務に浮気して法務業務がおろそかになるのは流石にNGです。
法務部隊のリソースは十分に検討しましょう。

法務以外の業務を依頼してくれた人が、あなたに何を求めているのかをしっかり見極めるべきです。
「雑用代行センター」として見られているなら絶対に断るべきですし
論理的な思考力や、法務として多くの案件に携わっている経験を期待してくれているなら、お願いされた仕事にチャレンジする価値は十分にあります

管理系のお仕事の人は現場から疎まれていることが多いです。
通常、法務以外の業務を希望したところで「やる気は尊重するけど流石にちょっと...」とお断りされちゃうもので。

にもかかわらず「ビジネス的な仕事や判断をしてくれ」とお願いされているのは
周囲からあなたの努力や普段の仕事を認められているということに他なりません。

法務として入社した以上、法務業務だけで勝負したい気持ちは重々理解できます。
実際私も同じこと思っていました。
が、そんな私は今、法務自体をやめてビジネスサイドに完全移転しています。

もしかしたら別職種への足がかりになるかもしれませんし、そこまで行かなくとも
現場の時間感覚を知れて納期ギリギリに契約書を持ってくる担当者を温かい目線で見れるようになるかもしれません。
（何回言ったかな。「今回だけですよ」って）

二段三段上の目線で物事を見れたり、新しい世界と出会える間違いなく貴重なチャンスです。
あまりプロフェッショナルを気取らずに、お願いされたらチャレンジしてみてはどうでしょうか？

ざっくりまとめると

でした。

チャンスを掴むため、言い換えると忙しいから...を言い訳にしないためにも
スキル向上やリーガルテックで法務業務にかける時間を短縮できるようにしておきたいですね。

リーガル・レバレッジ