リーガル・レバレッジ

リーガル・レバレッジ

コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

BLJ 2017年11月号

BLJ11月号の感想です。今号の内容凄く良かったのにあまり話題になっておらず。私が気付いてないだけかな?

Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 11 月号 [雑誌]

Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 11 月号 [雑誌]

 

 

既に12月号が手元に届いてますがそんなこと気にしちゃいけません。

西村あさひ 松尾先生の「アイドルに学ぶ現代経済社会」が話題になった本号。その点は皆さんがコメントされているので私は別のトピックを取り上げます笑

 

本号の特集テーマは「秘密保持契約の最適化」

 

「最適化」とは、特定の目的に最適の計画・システムを設計すること。プログラムを特定の目的に最も効率的なように生成すること。(広辞苑より)

 

 一般的には、色々溜め込んじゃってごちゃごちゃになったものを綺麗にアレンジして使いやすくする、みたいなイメージで使われることが多い印象です。効率化を最適化って言い換えてるだけやん、って場合もありますね笑

 かっこいいタイトルだけど、結局レビュー時の各条項チェックポイントが書いてあるだけでそれなら契約書チェック本でよかったな...とはならなかった、というお話です。

 

1.秘密保持契約の最適化 法務担当者の視点

 現役法務担当者9名が、座談会形式でNDAに対する注意点・審査スタンス・あるあるな悩みどころをトークしていくという内容です。

 規模の大きな会社が一方的な条件を突きつけてきたときにどう対応するかとか、押印する印鑑の種類はどうするのかとか、現場法務担当者の生の声が聞けるというステキ内容。

 こういう書籍で届かない肌感覚や思考プロセスを提示していただけると凄く助かります(一人でやっていると特に)。

 肌感覚系は普段Twitterで皆さんのつぶやきを参考にさせていただいたりしているのですが、こうして記事にまとめられているとありがたいことこの上ないです。

 記事トピックとしてはNDA関連ですが、その他あらゆる契約書に流用できる視点を養える良記事です。まだご覧になっていない方は是非どうぞ~

 

2.法務部門における品質確保・向上の方法論

 連載シリーズで今回が2回目。トピックは「契約書作成・レビューにおける「標準化」」。

 会社が作成する・関係するありとあらゆる文書のレビューなんてやってたら法務がパンクします。じゃあどういうところで線引きしてどういう運用するのよ、って言う話です。レビュー対象から外す文書の例示がされていますが、外す理由付け含めこれを参考にして自社に合うよう基準作れば法務の動きがかなりスムーズになるかと思います。仕事多すぎてパンクして悩んでる方はご一読を。

 案件の進捗管理についてのお話も秀逸です。昔ガントチャートで管理しようとして失敗した経験アリですが、ツール使用で回避できる可能性が見えてきました。現状一人でやってるようなものなので進捗状況は自分さえ把握してればOKですが、増員や転職見据えればマネージャーがぱっと見てどういう進捗なのか分かる仕組みって絶対必要だと思いますし、今のうちから整備しないとなと思った次第です。

 

3.企業法務系ブロガーによる辛口法律書レビュー

 今回は取締役・取締役会に関する書籍のお話です。書籍名を記載するわけにはいきませんので各自ご覧になっていただくしかないので、代わりに私のお気に入り(というか3冊しか持ってない)をご紹介です。

 

取締役会付議事項の実務〔第2版〕

取締役会付議事項の実務〔第2版〕

 

 解説メインのNOT書式集です。コンパクトなのが◎。

論点や疑問となりやすい点がQ&A形式で解説されており、解説も分かりやすいです。

予備・新司受験生の方にもオススメです。

 

取締役会の法と実務

取締役会の法と実務

 

 解説メインで書式がちょこっと。上記の本よりぶ厚い分解説も詳しめ。

「なんで取締役会で定期的に会社の一般的状況を報告しないといけないの?」みたいな、当たり前ながらも基本的な点も説明されてるので、たまに目を通すといろいろ発見や再確認があって良いですね。

 

 がっつり書式集。議事録作るときにいつもお世話になってます。

文例が充実してるので活躍の場多しです。これに載ってなかったら信託の人や顧問にヘルプお願いしてますね。もっとぶ厚い辞書みたいなの買ってもいいんですが笑

DMM英会話を受講してきました

英語熱が高まっている内にということで、とりあえずオンライン英会話を始めてみました。

 

1.はじめたきっかけ

 先日から英会話サークルに通っているのですが、いかんせん週一では伸びるモンも伸びないぜということで。

 オンライン英会話も探せば色々あるみたいですが、変に選択肢を増やすと悩んだ結果始めないパターンに陥るという経験則。なのでとりあえず目に付いたDMM英会話をチョイス。

 DMMのアカウントがあれば英会話用の登録もすぐなので手っ取り早かったです。

 (なんでDMMのアカウントなんて持ってるの?なんて質問は野暮ってもんですよ)

 

 現在の仕事では英会話は滅多に使わないのですが、違う国の人と話して自分の世界を広げたいというピュアな動機がありまして。

 ちょうどこんな記事を読んでしまい、やっぱり英語できるっていいよなあと思う次第です。

 

tsukuruiroiro.hatenablog.com

 今年は海外旅行行くぜーって年で、せっかくの海外で人と話すときにもにょもにょオドオドするのはもったいなさすぎるので。

 

 あとは、お金稼ぎたいよねっていう現実的な動機ですね。

 法務の転職市場を見れば、必須条件はモチロン少なくとも尚可条件に「英語力」が入るご時勢です。にもかかわらず、リーガル関係で英語苦手な人って多い印象。

 法務パーソンを「英語のリーティング・ライティングができる」でフィルターかけるとかなり減って、そこから「会話である程度の意思疎通ができる」だともうだいぶ希少種な感じです。

 希少種ということは即ち市場価値も高まるわけで。ダイヤモンドは希少故に高価ですからね。

 

2.とりあえず2回受けた感想

 WEBで空いてる講師を探して(「講師経験3年以上」でフィルターかけました)、空いている枠を予約して、時間になったらiPhoneの前で待機、時間になったら講師からスカイプに着信、という流れです。1コマ25分也。

 

 2回ともフィリピン人講師で、2回目は1回目と別の講師を選びましたが

 まあ、悲しいぐらい聞き取れないですね笑

 

 一人目の講師はこっちが不慣れと見るやゆっくり話してくれるようになりました

 二人目の講師は気を抜くとすぐにスピードアップしちゃってました笑

 2人ともこっちが喋れないからって言って嫌な顔は全然しませんが、あまりにも聞けない喋れないとやっぱり精神的にキツいものがあります。

 聞き取れないから聞き取れるようになるまでインプット、って一番やってはいけないパターンにはまってしまいそう...うう...

 

3.受講を検討している方に

 機材の準備は入念にしましょう。スカイプの設定含め。スカイプの使い勝手が異様に悪くなってるので登録が大変です。

 あと、スマホでもできなくはないですけど、聞き取りにくいし喋りながら画面見れないしやめた方がいいですね。ノートPCにマイクとイヤホンつけてやるのがベストです。

 

 DMM英会話ってネイティブの講師少ない・高いんでしょ?って悩んでる方

 安心してください、ネイティブかどうかなんてまっっっったく気にする余裕はありません。

 ネイティブがいいなんて贅沢は、それなりに会話できるようになってからで十分です笑

 

 やらない理由なんて探せばいくらでもあるので

 「とりあえず」無料受講だけでもいかがですか?

 後悔はしないと思いますよ。

 

 

コピライト 2017年9月号

気がつけば9月ももう終わり...

8月に頑張ろうと思った矢先に、すっかり書けないまま今を迎える

ナンテコッタイ/(^o^)\

気を取り直してさくさく書く

 

1.著作物の公衆への伝達利用と権利制限

 

弁護士 三山裕三先生の、過去に開催された著作権研究会の講演録。

条文の文言に沿いながら各用語の定義もしっかりと、という私好みのスタイル。

 

内容は、無形利用の中の、上演権から口述権(22~24条)についてのお話です。

有形利用と無形利用について条文の要件がなぜ違うのか、とか基本的ながらも大切な部分に言及されてたり、色々と発見があります。

各ケースの検討で紹介されている社保庁LAN事件なんかは、実際に相談されることもありそうなケースです。

「自社内でどこまでなら●●のコピー配布していいですか?」とかとか。

一読しておくと役に立つと思いますよ~

 

2.国内ニュース 判決文が公表された著作権事件

6月23日から7月23日までに判決文が公表された事件が紹介されています。

 

ちらほら見かける発信者情報開示請求事件、3件ともAVの無断配信事件です。

コピライト自体マジメな雑誌で、文章も「被告は、インターネット接続プロバイダ事業等を行う電気通信事業者である~」みたいな固い感じなのに、急に

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こんな成人向け映像作品のタイトルが出てくると笑っちゃうじゃないですか。

 

おかげで危うく

「法律系雑誌を読んでニヤニヤ笑うリーガルオタク」

の烙印を押されるところでしたが、映像作品のタイトル及び内容を詳細に説明することで事なきを…得れたのかな・・・

 

3.コピライトビギナーVol.6 実用品の著作物(応用美術)

「著作物性が認められにくい類型の総決算」とあるとおり、今までを考えるとかなりハイボリュームの3.5ページ。

応用美術というのは要するに美術を日用品に応用したもののことで、典型例としてはカッコイイ家具とかTシャツのデザインとか、です。

固まっていない分野ながら、現状最も妥当なボーダーライン(著作物にあたるかどうか)は何かというのが提示されています。

あまり業務柄多用する分野ではないので最小限を抑えておきたい私は、とりあえず掲載されているこれだけ抑えておこうという省エネ思考です笑

 

本題とは無関係ながら、論文式試験を見据えている身としての感想。

筆者の小坂先生の文章なんですが、序論から問題(論点)提起の流れがめちゃくちゃ綺麗です。

 

ふんふん

なるほどそういうことだよね

あれ?でもここが引っかかるような…

ああ、次で解説されてる

 

という、とっても自然な流れで話が展開されているので凄く読みやすいのです。

 

「一読して明快な、読み手に読み返しをさせないような文章を作れ」

というのは大抵の文書作成本で書かれているポイントですが、こういう文章のことを言うんだろうなあと毎回感嘆しながら読んでます。

企業法務系の人以外は手に取る機会が限られると思いますが、機会がありましたら是非読んでみてくださいませ。

英会話サークルに行ってきました

座学でインプットしてばっかりでは使える英語は身に付かない。

と分かっていてもどうしても腰を上げられず、転職サイトのスキルシートに「英会話:日常会話レベル」にチェックを入れることすらためらっていた私ですが、遂に行ってきました!

大学生も混じっての英会話サークルなので、英会話学校とかみたいに大金も払ってませんし、多くても週1回の頻度です。

しかし、しかしですよ。とりあえず第一歩が踏み出せたのでついついブログを更新しているのです。(「とりあえず」って大事なんですよ!)

 

鉄は熱いうちに、ということでメモも兼ねて。

 

発見した課題

  • 分かってはいたけど、簡単な単語でもスッと出てこないことが多い
    →向上あるのみ。浮かばなかった単語はメモして復習する。
  • 事実ばっかり話しても意味がない
    →大事なのは、自分が「何を感じて、どう考えたか」ということ。特に英語では。「去年USJに行きました」だけでは会話は広がらない。
    →もっと感情表現ができるように。感情フレーズは重点的に勉強する。
  • 質問してばっかり
    →感情表現と共通するが、自分のことをしゃべる時間が少ないためどうしても質問が多くなってしまった。慣れるまでは日本語での準備をもっと入念に。

収穫

  とりあえず継続あるのみですね~

BLJ 2017年10月号

届いたので読む。いつもどおり気になった3点の感想。

 

1.誹謗中傷・炎上への対応実務

 誹謗中傷への対応は北岡先生(@h_kitaoka)が執筆されています。

 ちょうどトレンドの話題ですね。

 

www.bengo4.com

 

 内容を発見しましたが、削除/発信者開示請求の要件や具体的な対応方法がまとまっておりこれは便利...!

 取りうる各手段(目的に対して効果的なアプローチ)をどういう基準で選べばよいか、メディアごとの特性(請求に当たっての注意点)など、実務的な視点も満載です。

 退職者からの評価というのは必然的に厳しくなりがちで、求職者に対して影響力のあるサイトに自社の酷評が掲載されるというのは人事にとって気になるところ。

 実際にそういう相談も受けたことがあるので、いざ必要だなーってなったときに使いたい、という個人メモ含み。

 

 ちなにみ当社の場合というのは

 「うわー、これ多分●●さんだけどキッツいこと書いてるぅー!でも指摘されてる会社の悪いところは当たってるねー!」という感じで収束したのでした。ベンチャーってフランクなのさ。

 ちゃんちゃん。

 

2.法務部門における品質確保・向上の方法論

 今回の連載は、法務業務をいかに「標準化」するかというお話。

 頭を悩ませてる方も多いと思われるこのトピック。専門性が高い業務とはいえ、人によってアウトプットがぜんぜん違うようでは困る。でもマニュアルや雛形で全部確実に網羅するのは無理。じゃあマネージャー的な人が全部に眼を通すかといわれるとそんなの余計無理...と、行ったり来たりでそもそも問題点の整理もできていない状況に陥りがち。

 個人的な感想ですが、法務業務が標準化しにくいのは、業務の専門性に加えて「人」の問題があると考えています。

 担当者にとって、業務を標準化するインセンティブって何でしょうか?

 標準化されて自分の業務をできる人が増えました。自分の仕事は自分にしかできないはずだったのに。「●●君だけが頼りだね!」なんてセリフはもう聞けなさそうです。

 標準化されて自分の業務をできる人が増えました。普段から業務に関するインプットを頑張り、本来難しいはずの業務を整理して簡単にしてノウハウを共有した結果、自分がいなくても当該業務は円滑に回るようになりました。

 特定の人に業務が依存するのは会社としては避けたいことですが、労働者側からすれば極力狙っていきたい状態です。仮に給与交渉をする場合、自分がやめれば滞る業務があるというのは相当に強いカードですよね。

 そんな強いカードを自分から手放す理由って何なのでしょうか?

 

 こんな感じで、担当者にとって「業務を標準化する」ことのインセンティブって一見見当たらないのです。そりゃ誰も標準化に協力も注力もしてくれないよっていう。

 前職に、プライド富士山全部自分で抱えまくりでパンクしているけど死んでも仕事離さないマンがいました。

 なぜ仕事を他に渡さないのか当時は疑問で仕方ありませんでしたが、ある程度中心的な位置づけを任せられた今は彼の気持ちが分かります。

 何もしなければ自分の地位は安泰です。なのに、大したメリットもないどころか、お払い箱になるリスクを抱えてまで自分の仕事のノウハウは人に渡したくないのです。

 狡兎死して走狗烹らる。飛鳥尽きて良弓蔵る。誰だって煮られるのも死蔵させられるのも嫌でしょう。

 

 なので、今自分も全然標準化には手をつけていない...

 なんてことはなく、絶賛標準化推進中なのです。

 それはなぜか?というと話が逸れてきますのでまた今度。

 

3.企業法務系ブロガーによる辛口法律書レビュー

 ronnor先生(@ahowota)ご執筆の恒例コーナー。今回は改正民法(債権法)のブックレビューです。

 まずは概要を見渡したい人(頭に地図を作りたい)向けの本、入門は終わってもっと理解を深めたい方向けの本と、フェーズごとに分けてオススメ本が記載されています。注釈のコメントでぽつぽつと辛いコメントが存在感を利かせてますね笑

 概要把握用に、私はとりあえず高須先生の「Q&Aポイント整理 改正債権法」と、潮見先生の「民法(債権関係)改正法の概要」でも読もうかなと。

 きちんとした読み込みは、立法担当者の方が書いた書籍が出るまで待ちます。

 最近葉玉先生の本の良さを再実感しているので、立法担当者の方の書籍信仰が強まっているのです笑

 学者本と立案担当者解説との乖離につき、経文緯武‏ (@keibunibu)さんのコメント が参考になりますのでご紹介です。