リーガル・レバレッジ

リーガル・レバレッジ

コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

民法の短答過去問、解いてみませんか

法務パーソン×予備試験

 「本気で目指してはないけど、法務をやっている以上気にはなる。でも7法全部一からやるのはちょっと...」という方は少なくないと見受けました。

 コメントもいただきましたが、費用対効果が良くない上に予備試験単体では何の資格にもならないということで、まあそりゃそういうスタンスが普通だよねという感じです。あれ俺はなんで受け始めたんだっけ(困惑)

 実際勉強して思うことなのですが、そこまで予備試験の勉強はそこまで企業法務スキルに直結しません。悲しい。遠まわしにはがっつり貢献してくれるのですが、なかなか芽が出るのに時間がかかるので他の勉強したほうが手っ取り早いです。

 その原因はやはり、企業法務で主に必要とされるのが民法と商法やや順位が落ちて民訴にもかかわらず、かなり優先順位の落ちる憲法行政法・刑法・刑訴にもフルコミットしないといけないという点だと思います。(断じて法務パーソンに不要という趣旨ではない。念為)

 

 ということで、そんな方々のニーズに合致すればいいなと思いまして、司法試験過去問のご紹介です。とっつきやすい契約法関係から引っ張ってきましたので、力試しにも知識の再確認にも是非どうぞ。
 法務パーソンである皆さんはもちろん全問正解ですよね!?(無駄に煽っていくスタイル)

 

※問題の形式だけちょっと改変してます。内容は全く一緒です。

 

〔平成21年民事系第23問〕
 A(東京在住)は,友人の美術品愛好家B(京都在住)が所有する複数の掛け軸のうち掛け軸「甲」を手に入れたいと考えた。そこで,AはBに対し,4月1日,そのための手紙を出し,この手紙は4月3日にBに届いた(以下これを「本件手紙」という。)。

 この場合において,AB間の甲の売買契約の成否及びその時期に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものはどれか。なお,日付は,本問において,すべて同じ年のものである。


ア.本件手紙が「甲などお手持ちの掛け軸について,お譲りくださるお気持ちはありませんでしょうか。」というものであり,これに対し,Bが4月4日,「100万円でよろしければ甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月6日にAに届いたところ,AがBに,4月7日,「甲を100万円でお譲りくださるとのこと,ありがとうございます。」という手紙を出し,この手紙が4月9日にBに届いた場合,甲の売買契約は4月4日に成立する。

 

イ.本件手紙が「甲を100万円でお譲りください。」というものであり,これに対し,Bが4月4日,「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月6日にAに届いた場合,甲の売買契約が4月6日に成立する。

 

ウ.本件手紙は「甲を100万円でお譲りください。」というものであり,これに対し,Bが4月4日,「120万円でよろしければ甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月6日にAに届いたところ,AがBに,4月7日,「それでは120万円で甲をお譲りください。」という手紙を出し,この手紙が4月9日にBに届いた場合,甲の売買契約が4月7日に成立する。

 

エ.本件手紙は「甲を100万円でお譲りください。」というもので,4月3日午後3時にBに届いたが,Aは,本件手紙を投函した後,気が変わり,4月3日午後9時に,「本件手紙が届くかと思いますが,事情により,甲をお譲り願う件はなかったことにしてください。」という内容の文書をファクシミリでBに送信し,当該ファクシミリ文書は同日時にB宅に届いた。しかし,Bは,4月4日,「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月6日にAに届いた場合,甲の売買契約が4月4日に成立する。

 

オ.本件手紙は「甲を100万円でお譲りください。」というものであったが,Aは,手紙を投函した後,気が変わり,4月2日午後9時,「本件手紙が届くかと思いますが,事情により,甲をお譲り願う件はなかったことにしてください。」という内容の文書をファクシミリでBに送信し,当該ファクシミリ文書は同日時にB宅に届いた。その翌日である4月3日,本件手紙がBに届いた。しかし,Bは,4月5日,「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し,この手紙が4月7日にAに届いた場合,甲の売買契約が4月5日に成立する。

 

 

 

ちゃんと理由付け含めて合ってないとダメですよ<●><●>


勘で当たったとかは「正解」に含まないですからね<●><●>

 

 

 

答えあわせ

 

正解肢 ウ、エ

 

解説

ア 契約の成立日は4月4日ではなく4月7日なので誤肢。

  売買契約の成立には少なくとも①目的物と②代金額につき合意が必要であり、4月4日の時点ではBがAに対しオファーしただけにとどまるため。

 

イ 契約の成立日は4月6日ではなく4月4日なので誤肢。

  承諾の通知は発信主義(民法526条1項)

 

ウ 契約の成立日は4月7日なので正肢。

  4月4日におけるBのAに対する「120万円でよろしければ甲をお譲りします。」との返事の手紙は「申込みに変更を加えた承諾」であるため、4月4日におけるAのBに対するオファーを「拒絶」し「新たな申込み」をしたことになる(528条)。

  この新たな申込みに対するAの承諾発信は4月7日であり、4月7日に契約が成立する。

 

エ 契約の成立日は4月4日なので正肢。

  524条により「承諾の期間を定めないで隔地者に対してした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。」。

  そのため、4月3日午後9時にAはBに対し申込の撤回をしているが、4月4日という「通知を受けるのに相当な期間」内にBは承諾の通知をAにしているので、Aの撤回は効力を生じず4月4日に契約が成立する。

 

オ 契約は成立していないため誤肢。

  申込の通知は原則どおり到達主義(97条1項)。

  手紙の到達は4月3日であり、効力が生じる前の4月2日にAはBに撤回の通知をしBに到達しているので、4月2日に申込の効力は失われている。したがって、申込みを欠くので契約は不成立となる。

 

 

おわりに

 いかがでしたでしょうか?

 勘で当たったのはダメと言いながら、契約の話なのである程度普通に考えれば正解が導けるのもあります。聞かれている知識も基本的ですし、ビジ検2級で出てきそうな問題です。

 にもかかわらず、本番での正答率は高くなかった模様。聞かれているのは基本的な知識だけど、フェイクの入れ方とか事実の組み合わせ方が巧妙で難易度高いと思います。

 「知ってるだけではあかんのやぞ。短答やけど頭使えよ。」

 という試験委員からのメッセージが伝わってくるような問題でした。

 過去問と向き合ってると「司法試験の問題ってよくできてるよなあ」と感嘆させられることしばしばですね。

 

 本エントリを見て「ちょっと過去問やってみようかな」と思った方に、オススメならぬこれは避けたほうがいいぜ過去問をご紹介しておきます。

 

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 避けた方がいい理由なんですが、正誤の理由付けがほんっとに雑です!

 「判例は~としている」「●法●条による」とだけポンっと書いて終わりというのが多いんですが、それは解説になってない!と怒りを隠せません。

 (大事なんは結論に至るロジックやろうと)

 資格合格から遠ざかる主要要因に「テキストや使用教材に無駄なこだわりを出す」っていうのがあるので、あまり使っている教材変えたくないのポリシーなのですが。流石にちょっとなあ...という感じで。

 

法務×副業【法務系Advent Calendar15日目】

 このエントリーは"法務系 Advent Calendar 2017の15日目のエントリーです。

 がっつりとハードルを上げてくださったマイニチぱみゅぱみゅ(●´ω`●)(@Utastm)さんからバトンを受け取りました。

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 定番の分野・トピックというのは諸先輩方の皆様にかなうべくもなく、やはり若手(20代なので偽装ではない)は目新しいトピックを開拓していくべきだ!ということで、私のACテーマは世間のトレンド真っ只中の「副業」でございます。

 

 現職について1年半が経過して、落ち着くと同時に危機感的なものを感じるようになりました。

 前職よりも規模感が小さい会社に転職した結果、幸いにも現場に近い場所で仕事ができました。お金を稼ぐというのは大変なんだということを身をもって知り、金策に関する興味が深まりました。

 

 AIにどれだけ仕事を奪われるのか。事務職である以上受けるあおりは少なくないと考えています。

 業績がいいとはいえベンチャーなので、今の会社がダメになった時どうすればいいかというのはイヤでも考えてしまいます。

 私は法曹資格持ってないので、フリーランスになったら自分一人でリーガル関係で稼ぐというのは相当難しいものがあります。残酷なまでに突きつけられる「今会社を放り出された生きていけないよね」という悲しい現実。

 にもかかわらず、一時期のシャープや今の東芝の状況からしても「一社に身を埋める時代」でないということは明らかです。

 

そうなると

a) いざという時いつでも転職できるように市場価値を高めておく

b) 会社に依存しなくても稼げるようになっておく

のどちらかはできるようにならんといけません。

じゃあどっちをできるようになるか?...

 

両方でしょ!

 

というところまでがイントロで、以下本編です。

 

 

1.どんな副業をチョイスすべきか

 副業って言っても色々とありますが、じゃあ何をするのかと言いますと

 契約書審査や法律相談などのリーガル的なお仕事「以外」

 であれば、なんでもよいと考えております。

 

理由その① ~市場価値アップの観点から~

 市場価値アップというと抽象的ですので、記事を交えながら固めます。

blog.tinect.jp

 

 How Google works 「私達の働き方とマネジメント」という書籍の紹介記事です。

 メインのポイントは

 ・企業の成功に必要となる要素は

  →プロダクトの優位性(質・スピード)

 ・優れたプロダクトをスピードを持って開発するにはどのような人材が必要か

  →スマート・クリエイティブと言われる人々である

 ・スマート・クリエィティブとはどのような人か

  →医師、エンジニアなど高度の専門知識を持っており、実行力に優れ、単にコンセプトを考えるだけでなく、プロトタイプを創ることのできる人々。また、ビジネスセンスがあり、専門知識をプロダクトの優位性や事業の成功に結びつけて考えることができる。

 

 企業の成功に必要な人の市場価値が上がるのは明白なので

 法務なので高度の専門知識は持っているという前提で考えれば、後必要なのは

 「プロトタイプを生み出せる」つまりはクリエイティブであって

 「知識をプロダクトの優位性or事業の成功に結び付けて考えることができる」ビジネスセンスを持っていること、ということになります。

 

 じゃあどうすればクリエイティブになれて、ビジネスセンスが身に付けられるのかというと実践してみるのが一番の最短距離、すなわち自分でモノ/サービスを作って、それを売るだけの話なのですが

 勤め人×法務ですとそういう機会ってかなり少ないので、副業はリーガル関係以外で探すべきなのです。

 

理由その② ~法務業務以外でもやれるでしょ?~

 「そうは言っても、法務が法務以外のお仕事をやるなんて難しいのでは...」と思った方に、大丈夫ですよというお話です。

 まずはこちらのインタビューから。

consulnews.jp

 この他にも、弁護士←→コンサルというのは比較的よく見かけるジョブチェン事例ですね。

 理由は「ロジカルが必要とされる部分が共通しているから」と、インタビュー中にもあるとおりだと思います。

 そして、ロジカルはコンサルに限らずホワイトカラー的な職業全てに活きるスキルであり、法務はロジカルが要求される職業です。つまり、法務で仕事ができていれば他職でも通用する可能性は十分にあるということです。

 

 「いやいや、他職でも活躍できるのは弁護士だからでしょ... 」と思った方に、次は私の体験談

 

 今まで高評価を頂いたところの例を言いますと

 ・ 現部門の上長からはメールや報告の文書が論理的で分かりやすいとの評価

 ・ エンジニアの勉強をしていたとき、プロダクトのコードをチェックした講師から「コードが非常に綺麗で、一読したら何がしたいか分かる」との評価

 ・ 全然リーガルに関係ない他部門の相談をしばしばお願いされて、気付けば私の承認が必要になった

 というのがあります。

 

 高評価を受けている根本となっているのは、いわゆるロジカルな部分や文書作成能力です。

 これは決して先天的な才能とかではなく、全て法務として仕事や予備試験とかを通じて法律の勉強をした結果習得したスキルによるものです。

 「法務に関わったことのない自分」が平行世界で別世界で仕事をしていても、間違いなく高評価を得られていません。

 また、法務職は普段から自己研鑽的な勉強が必要な業務ですし、日ごろからインプットをする癖がついているモノです。別職種に行ったときはこれが周りと差をつけることができたポイントでした。

 ということで「法務は法務以外の仕事ができない」ではなく「法務だから未経験の他の仕事でもやっていける」というのが私の持論です!

 

理由その③ ~非弁行為~

 私達法務パーソンが「副業やろうぜ」ってなったときに、まず立ちはだかるのが弁護士法72条です。

第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。

 

 「法律事件」をどう解釈するかにつき、事件性必要説と不要説に分かれているようですが

 違反時の罰則が二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金(77条3号)ということで、踏めたモンではないリスクとなってます。こればっかりは仕方ありません。

 (「弁護士法72条は弁護士の既得権益を確保するものであって、市民の利益を~」なんてことを声高に主張してらっしゃる団体もあるみたいですね。)

 

 他社の社外取や顧問として活躍している方もいらっしゃるようですが

 他社とのコネクションや求められるスキルから考えると流石にハードルが高いように思います。

 

 

 以上、法務パーソンが法務畑以外の仕事をやるべきで、法務畑以外でも活躍できる土壌があるという話でした。

 

 リーガル以外なら何でもいいと言いながら、アルバイト等のように時間給の仕事は避けるべきですねと補足。本業が終わった後の深夜労働で本業に影響が出たら本末転倒ですので。

 時間が固定されていない委託系のお仕事はクラウドワークス的なサイトで探せばいくらでも出てきますし、そういったところに掲載されているもので十分です。英語の邦楽論文の和訳とかとっつきやすそうなのもありますよ。

 ちなみに私が手をつけているのはデータ分析とアプリ開発です。

 

2.法務キャリアへのつながり方

 ここからは、副業で経験した他業種がどう法務業務に生きてくるかのご説明です。

 

○ 直接的に活きるところ ~リスク計算能力の向上~

 適切なリスクの判断につき、私のお気に入り書籍のこちらで法的リスクの計算に必要な各要素について的確な解説がされています。

 

事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック

事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック

 

 

一部引用すると

f:id:pnt_law22:20171213154823j:plain

 

 法的リスクとは

 ① 法令違反そのものの影響の大きさ

 ② 法令違反の発生確率

 ③ ダメージコントロールの成功度

 を掛け合わせたものと表現することが可能であり、次ページで続けてこのように説明されいてます。

 

「発生するコスト(費用)と、当該施策を実施することから得られる経済効果(利益)とを比較(費用便益分析)し、あえてリスクを踏むというビジネス上の意思決定を行うこともあり得る」

  

 いやいやこんなの法務なら当たり前だろ!ブログに書くほどのことかよ!

 という意見もあるでしょうが、当たり前のこの

 「法的リスク算出→費用便益分析→アドバイス

 というアウトプットの質をどれだけ上げられているか、つまり各要素をどれだけ具体的に数値化して事業部の意思決定をサポートできているかはとっても重要だと思うわけです。

 

 じゃあ数値化すればいいじゃないという話ですが、これがまた難しい。

 転職市場を見ていると、数字を分析したり経営に活かせる経営企画、マーケティングやデータアナリティクスといった分野の年収はかなり高いです。

 要するに、数字を使って分析するというのはそれだけ難しい業務ということで

 じゃあ、ちょっとでも数値化して法的リスクが提示できるようになれば相対的にとても優秀な法務になれるのではないかと。

 何をすればどれだけ儲かるのか、どれだけ損失がでるかを判断できるようになるには
いかにビジネスの実践を積めるかという点に尽きるのではないでしょうか。

 (他にも有ったら教えていただきたいです)

 

○ 間接的に生きるところ ~事業部門を理解するために~

 自分のタイムラインを見てますと、一度事業部を経験することは大事だよなあと感じている方、実際に経験してみて法務に活きているという感覚を持ってらっしゃる方がほとんど。

 というか、「コスパ良くなかった」とか「経験する価値がない」という方を見た覚えがないです。

 事業部門で経験するのと同等とまではいいませんが、一度自分でビジネスを経験することで事業部門スタッフの感覚を理解し感じることは十分に可能です。

 法務(に限らずサポート的な部門に対して)に何を期待して、何をしてほしくないのかというのを実感で感じてみることは大事ですよね。

 

○ 守りの考えから ~気軽にジョブチェンはできない~

 別に副業じゃなくてもジョブチェンすればいいのでは?という疑問に対して

 ジョブチェン=異動or転職ですが、両方ともハードル高いですよね。

 

 他部門への異動ですと、法務は選任で雇われることが多くそもそもが難しいです。事業部内での異動がある会社でも、コーポレート部門から事業部にというのはなかなかレアケースかと思います。

 じゃあ他部門研修でという考えがありますが、研修となってしまうと1、2ヶ月工場に行きましたとか、営業研修って言いながら営業の人の後について回るだけ、というのが経験上ほとんどです。「本気で」「お金を稼ごうとしたか」が大事なので、全然目的達成のアプローチにはなってないですよね。

 

 まどろっこしいこと言ってずに他職種への転職、だとどうでしょう?

 結論からいくと、待遇面・年齢面・実際に新業務にフィットするのかという点から難しいですよね。

 待遇面だと、体感的に法務以外で転職すると50万ぐらい下がるイメージです。生活水準がそれだけ落ちるというのは難しいでしょう。家庭を持っている方は特に...

  年齢的な話をしますと、どのエージェントに聞いても「未経験業務にジョブチェンしたかったら20代のうちでないと」という回答が返ってきます。まあ採用する側としても理解できるところではあります。

 何より怖いのが、幸いにも上記課題をクリアできたのに実際に別業務に従事したら「これは自分に向いてないな」と判明してしまったときです。早く法務に戻りたい、でも今やめたら履歴書に変な経歴が...という狭間で悩むリスクもなくなります。

 

 

 以上、法務パーソンにおける副業の必要性と相当性でした。

 ...別に副業が例外と言いたいのではなく、ちょっと論文式な雰囲気を出したかっただけです。すいません。

 余談はさておき、本業への好影響が見込まれて、特にリスクもなく(自社の就業規則は確認してくださいね)、その上ちょっとした収入が見込まれるのです。

 軽い気持ちでいいので一度やってみませんか?

 合うか合わないかなんてやってみないと分からないですし、無理そうならやめればいいだけの話です。

 

3.おわりに

 まとめますと

 ① 自分の知識を自社製品・サービスの優位性や事業の成功につなげることができれば、法務パーソンとして市場価値を上げることができ、今後も必要され続ける(生き残る)ことができる

 ② そのためにはビジネスに関する経験が必要であり、他業種でも対応できる土壌がある法務パーソンは副業に適している

 ③ 他業種をやって幅を広げれば選択肢が増えるし(横の観点)、法務としてのキャリア向上にもつながる(縦の観点)

 というポエムでした。

 この記事が、法務以外のことをやってみるのも悪くないかもな、なんて思っていただくきっかけになれれば幸いです。

 

 法務以外のお仕事経験が法務業務にすごく役立ってくれています、というのをもっと具体的に言語化したかったのと

 副業実践談も交えて書ければ良かったのですが、執筆までに書けるほどの数こなすことが間に合わず...

 というのが心残り。

 

 なお、言うまでもないことですが
 副業が法務に与える反射的メリットだけでなく、「お金が増える」「自分で稼げるようになる」というのも同じかそれ以上に大事です。

 お金があるからこそ会社に依存しなくてよくなり、やりたいことができれば資本を投下できるのですから。

 できることなら、副業で稼いだお金は浪費せずに自己投資、なんてできると最高のループですね。ああおいしい焼肉食べたい。

 

 ご覧になった皆さんも「こんな副業いいんじゃない?」みたいな情報ありましたら是非是非教えてくださいませ。

 コメントはもちろん、ツイッターのアカウント宛(@pnt_law22)でも全然OKです!

 

 ※ 若手の分際で「法務以外に目を向ける」なんて言うと結構反感を買いそうですが、そういったリアクションは百も承知の上で提案してます。

 

 

 さて、私の記事はここまでです。

 明日は@NH7023ことアーリー@育休&リーガルテック さん。

 前回のライトニングトークではハンバーグありがとうございました!

 (美味しかったです!)

ブログ名を変えました

前回のACをきっかけに開設したこのブログ

当時は「タイトルなんか後で考えればいいんだよ」という気持ちで適当にブログ名をつけましたが

Advent Calenderで皆さんのブログと横に並ぶと

いや適当に付けたとはいえいくらなんでも名前ダサいだろう

という考えがよぎりましてブログ名変更に至りました。

 

皆さんのブログ名を参考にさせていただいて

ぱしっと自分らしい感じや、自分のリーガルに対するスタンスや思いが表現できてるとステキな名前だよなということで

 

自分の考えというと

① リーガル関係は好きなのでそれがベースにあって

② でもガチガチというわけではなく

③ リーガル的な考え方や得たものを実生活や色々な分野で使って成果(お金)を得たい

というところでした。

 

ホリエモンが「多動力」で語っていたよう「色んな経験や肩書きを掛け算していく」の掛け算の要素の一つにリーガルがある、というイメージです。

そこで最近投資をかじり始めた私は思ったのです。

それってレバレッジ的だよねと。

 

ということで

Legal(法や関連することを) Leverage(最大限に活用する)

をブログ名にすることに決めました。

意外にしっくり来てて満足です笑

 

それでは、引き続きよろしくお願いします。

クソコメへの切り替えしを考えました

@kataxさんの投稿を皮切りに盛り上がりを見せている #契約書クソコメGP

一通り見た感じ「うわこのコメント書いた記憶がある」なんてのが紹介されてなくて一安心です笑

私が紹介したこちらはクソ度高いやつを厳選して放り込んだつもりだったのですが

 

 

皆さんのツイートを見ていると上には上がいるなあと。

契約書の条項集は本でよくで出てますが、切り返し集的な書籍って出てないですよね?ということで実務から学ぶしかないわけですが、自分や周囲の経験だけに頼ると幅が狭まりますので、こうした他社事例を目にできるのは貴重ですよね。未投稿の方もご紹介いただけると嬉しいです!

 

さて、見ているだけでも面白いクソコメ集ですが、一部で「これ実際に受けた時どう返すのよ」ってコメントを見受けましたので、自分ならどう返すか・対応するかを考えてみました。

 

【回答案】

 任意規定(例外は置いておきます)である民法に拘束力はございませんので、修正不要と存じます。原案のままにてお願いします。

ー法の性質から考えるパターンです。我ながら結構的確だと思うのですがいかがでしょう?

 【対策】

This is theクソコメなコメントですが、実際これやってくるところがちょいちょいあって、しかも修正するなら締結できないとかまで言ってくるので悩みどころ。

どうしても修正に応じられないというのであれば、相手方担当者のマネージャー含めいたるところに「ホンマに権利行使しないんですね?契約書は実態と離れるけどいいんですね?」てメール送りつけて、いざとなったらメールで戦うとかでしょうか。

完全合意条項あるとこれすらできませんが...

 

 【回答案】

他社様には他社様、当社には当社の事情がございます。修正をお願いいたします。

ー面倒なので一言完結型。あと、これ別途秘密保持義務の関係でも引っかかるコメントですよね。契約の存在そのものが機密情報とされている場合とか。他社様がこれで結んでるって言っちゃっていいのとか。

 取引先様間の公平を~パターンもあるみたいですが、そもそも取引先との条件が公平である必要ないですし、あったとしても相手方の事情ですよね。同じように返すと思います。

 

 【対応案】

対応時の機嫌がよければやってあげるかもしれない。

ワード操作の勉強にはなるので笑

 

 【回答案】

違反しないなら削除しないでOKですね。原案のままにて進めさせていただきます。

ーもはや削除しないことを前提に。契約書が何かというのを説明するのが面倒。

 

 【回答案】

無下にするなら「不可です」、そうでないなら「変更の理由をお聞かせ願います」

ー無下にしていいかどうかは相手との力関係次第

 

 【対応案】

どうでもいい所とか、最悪うっかりならまあいいやってなりますけど

量とか修正箇所次第ではクレーム入れると思います。

 

【対応案】

修正案が実際に公平な条件になっていると再修正と理由付けが難しい。公平にすると生じる不都合を頑張ってひねり出すしかない。抽象的ですいません。

 

 【対応案】

法定責任説の論パでも貼り付けておきましょう...笑

 

外出予定で時間がないため以上ですが、帰ってきたら追記します。

 

ここまで書いててむなしさを覚えてしまうのが

こちらがどれだけちゃんとした案を考えようとも、えてしてこういうクソコメを書く側の条項案が通ることが多いんですよね。論理は暴力には勝てない。悲しいものです。

じゃあ手っ取り早く契約交渉終わらせたければクソコメを乱発すればいいのではないかという疑問も浮かびますが、自分の性格上...

 

さて、私のカウンター案は以上ですが

こっちの方がいいんじゃない?それはやめた方がいいんじゃない?みたいなのがあったら気軽にコメントくださいませ~

 ご覧いただきありがとうございました。

BLJ 2017年11月号

BLJ11月号の感想です。今号の内容凄く良かったのにあまり話題になっておらず。私が気付いてないだけかな?

Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 11 月号 [雑誌]

Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 11 月号 [雑誌]

 

 

既に12月号が手元に届いてますがそんなこと気にしちゃいけません。

西村あさひ 松尾先生の「アイドルに学ぶ現代経済社会」が話題になった本号。その点は皆さんがコメントされているので私は別のトピックを取り上げます笑

 

本号の特集テーマは「秘密保持契約の最適化」

 

「最適化」とは、特定の目的に最適の計画・システムを設計すること。プログラムを特定の目的に最も効率的なように生成すること。(広辞苑より)

 

 一般的には、色々溜め込んじゃってごちゃごちゃになったものを綺麗にアレンジして使いやすくする、みたいなイメージで使われることが多い印象です。効率化を最適化って言い換えてるだけやん、って場合もありますね笑

 かっこいいタイトルだけど、結局レビュー時の各条項チェックポイントが書いてあるだけでそれなら契約書チェック本でよかったな...とはならなかった、というお話です。

 

1.秘密保持契約の最適化 法務担当者の視点

 現役法務担当者9名が、座談会形式でNDAに対する注意点・審査スタンス・あるあるな悩みどころをトークしていくという内容です。

 規模の大きな会社が一方的な条件を突きつけてきたときにどう対応するかとか、押印する印鑑の種類はどうするのかとか、現場法務担当者の生の声が聞けるというステキ内容。

 こういう書籍で届かない肌感覚や思考プロセスを提示していただけると凄く助かります(一人でやっていると特に)。

 肌感覚系は普段Twitterで皆さんのつぶやきを参考にさせていただいたりしているのですが、こうして記事にまとめられているとありがたいことこの上ないです。

 記事トピックとしてはNDA関連ですが、その他あらゆる契約書に流用できる視点を養える良記事です。まだご覧になっていない方は是非どうぞ~

 

2.法務部門における品質確保・向上の方法論

 連載シリーズで今回が2回目。トピックは「契約書作成・レビューにおける「標準化」」。

 会社が作成する・関係するありとあらゆる文書のレビューなんてやってたら法務がパンクします。じゃあどういうところで線引きしてどういう運用するのよ、って言う話です。レビュー対象から外す文書の例示がされていますが、外す理由付け含めこれを参考にして自社に合うよう基準作れば法務の動きがかなりスムーズになるかと思います。仕事多すぎてパンクして悩んでる方はご一読を。

 案件の進捗管理についてのお話も秀逸です。昔ガントチャートで管理しようとして失敗した経験アリですが、ツール使用で回避できる可能性が見えてきました。現状一人でやってるようなものなので進捗状況は自分さえ把握してればOKですが、増員や転職見据えればマネージャーがぱっと見てどういう進捗なのか分かる仕組みって絶対必要だと思いますし、今のうちから整備しないとなと思った次第です。

 

3.企業法務系ブロガーによる辛口法律書レビュー

 今回は取締役・取締役会に関する書籍のお話です。書籍名を記載するわけにはいきませんので各自ご覧になっていただくしかないので、代わりに私のお気に入り(というか3冊しか持ってない)をご紹介です。

 

取締役会付議事項の実務〔第2版〕

取締役会付議事項の実務〔第2版〕

 

 解説メインのNOT書式集です。コンパクトなのが◎。

論点や疑問となりやすい点がQ&A形式で解説されており、解説も分かりやすいです。

予備・新司受験生の方にもオススメです。

 

取締役会の法と実務

取締役会の法と実務

 

 解説メインで書式がちょこっと。上記の本よりぶ厚い分解説も詳しめ。

「なんで取締役会で定期的に会社の一般的状況を報告しないといけないの?」みたいな、当たり前ながらも基本的な点も説明されてるので、たまに目を通すといろいろ発見や再確認があって良いですね。

 

 がっつり書式集。議事録作るときにいつもお世話になってます。

文例が充実してるので活躍の場多しです。これに載ってなかったら信託の人や顧問にヘルプお願いしてますね。もっとぶ厚い辞書みたいなの買ってもいいんですが笑