リーガル・レバレッジ

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コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

なぜ個人情報ネタは炎上するのか 〜話題のYahooスコアを見て感じたこと〜

 

 

おととい流れてきたヤフースコアの停止方法に関するツイート。「ヤフー スコア」とかでTwitter検索すると似たようなツイートがこれでもかと出てきます。

 

個人情報の話ですので別に資産が減ったり自分に危害があるわけでもなく。

にも関わらずこれだけ人の注目を集めてしまうのはなぜなのか、再発を防ぐためにはどうすればよいかを考えたので書きます。

 

稼いだり他人を不安にさせると嫌われる

個人情報ネタが炎上しやすい理由ですが

嫌儲感②不安感

の2点に尽きると考えられます。

 

嫌儲感というのは他人が稼いでいることを不愉快に思う感情のこと。そのまんま。嫉妬の下位レベルと思ってもらえればokです。

何の理由がなくても稼いでる人は叩かれるのに、よりによって稼ぐネタが「自分の個人情報」なんですからそりゃ嫌がられますよね。

 

不安感の不安は「自分の情報がどう扱われているか分からない」という不安です。

  • 私のどんな情報を取っているの?
  • 実際のところ私の個人情報をどう使っているの?
  • 悪用してない?

 

などなど。

より上の抽象度で考えると「自分が理解できないもの」に対する嫌悪感なのですよね。

 

「危なくない」のに「危ない」と思われてしまった

この件で面白いなと思うのは、ヤフースコアにおいては第三者にデータを提供する際に個別の同意が必要という点です

つまり、勝手にヤフーが個人データを売買できるというのは誤りなわけですね。

でも勘違いされて炎上してしまいました。

 

利用規約は読みにくいけど最終的に悪いのは読まない方」というのが一般的な考え方かと思います。実際にそういう考えでも運用されているでしょうし。

ただ、今回に関しては読みにくいことが完全に裏目に出てしまいました。

 

存在はしているけれども、利用規約を深く読み込んでやっと分かるセーフティネット、なんて気づいてもらえません。規約なんて誰も読まないですからね

 

弁護士や法務パーソンでもない限り。

私を除く。

 

個人情報に関する企画を始めるときに気をつけること

 

今回みたいな炎上事件があった際に、上から目線で「〜は稚拙だった」「もっと〜すべきだった」と企業の対応批判ばかりする後付けおじさんは嫌いです。

ですので今後に向けてのいい教材とするべく活用できそうなポイントを考えました。

 

取得した個人情報を利用するのは当たり前になってきました。もっとも、データ売買までいくとなじみが薄く反発を受けやすいものと考えられます。JR東日本のデータ売却事件は6年ほど前でしたが今もその状況は変わっていないのでしょう。

 

  • 同じ個人情報の利用でも「取得・利用」と「売買」では大きく違う点をまず認識しましょう
    →後者の場合はより慎重なデザインが必要になります。

  • ユーザーのメリットを具体的に提示しましょう
    嫌儲感への対策です。単なる広告最適化とかだと難しいところですが、今回のようにデータ提供で審査の精度が上がったりヤフーから特典がもらえるのであれば明確に提示すべきです。規約の一部にチョロっと載せるだけではなく。
    会社側が一方的に得をする内容でないと分かればここまで燃えることはないでしょう。「お互いのメリットになる」と感じてもらえるかどうかは大きいです。

  • 安全であることをわかりやすく端的に説明しましょう
    →不安感への対策です。今回でいうと「データを第三者に提供してよいかは都度同意が必要」の部分ですね。それが一見して分からないと今回のように誤解を招いて騒ぎになってしまうので。これも大事なところですね。

 

ざっくりそんなところです。

大まかですが上記3点を意識するだけでもかなりのリスクヘッジになるのかなと。

 

プライバシーポリシーや規約なんて読みにくくて当たり前の時代から、法的な面に抜け漏れがない&ユーザーが新しい規約を作る時代になってきているのかもしれません。

 

規約1.0から規約2.0の世界へ。

うーむ我ながら言い締め方で。

 

改定前の版から持ってますが、利用規約の定番本をご紹介です。

プライバシーポリシーももちろんカバーされてます。今回私が書いた内容はやや発展編ですが、実務で大事になるのはもっと基本的で地味な所です。

抜けなくもれなく規約やプラポリを作りたい方はこちらをどうぞ。