リーガル・レバレッジ

リーガル・レバレッジ

コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

noteはなぜ流行っているのか 前編 〜ブログサービス分析〜

サービス・機能拡充にnote.comドメイン取得。ここのところポジティブなニュースばかりで急拡大しているnoteを、現在のブログサービス業界と併せて分析しました。

分析のきっかけになったのは@kataxさんとのこんなやりとりから。

言われてみるとたしかに。課金購入機能が他のブログサービスと明確に違うとはいえ、そこだけでブログサービスが伸びに伸びるのかといわれるとそうでもない気がしてきます。

またそれ以前にそもそものところで、ブログサービス業界全般が伸びているのであればnoteが優れているから伸びているという結論にもなりません。ですので分析の全体像としては

 

1.noteは伸びているのか?
2.ブログサービス業界は伸びているのか?縮小しているのか?
3.noteが伸びているとして、それはなぜか?(長文発信サービスのニーズは有るとして、なぜnoteがそこにバッチリはまって他がはまらないのか)

 

となり、前編では1・2を取り上げたいと思います。というか3がまだ未完成でぼんやりアイデア出てきたぐらいの状態なので、本エントリーを読んだ方はコメントいただけると嬉しいです。それでは始めます。

 

1.noteは伸びているのか?

f:id:pnt_law22:20190325235829j:plain

凄まじい勢いで伸びてます。全然考察してませんけど、もう伸びてるって扱いでいいですよね?

一応サクッと言及しますと、会員登録者数・MAU(マンスリーアクティブユーザー)が一年ごとにほぼ倍になってます。

 

f:id:pnt_law22:20190326091454j:image

 

アカギの見過ぎか!

とイージーなツッコミしか浮かばなかったのはまあよいとして。

 

WEBサービスは軌道に乗ればユーザー数増えるものですが、それにしてもこの増え方はすさまじいものがあります。

後述しますが、はてなも結構な勢いで伸びています。率ではなく数そのものが違いすぎるので単純比較するのはよろしくないですが、並べるとnoteの伸び率が飛び抜けていることがよく分かります。

ということで「noteは伸びています」

 

2.ブログサービス業界は伸びているのか?縮小しているのか?

シェアが高そう・KPIが取れそうあたりを基準に、比較対象としてはてなブログAmebaブログをピックアップしました。

 

はてなブログについて
はてなの登録者数とMUB(月間ユニークブラウザ数)ですが、noteほどの伸びは無いしても右肩上がりで好調な様子が伺えます。

f:id:pnt_law22:20190325233459j:plain

左が登録者ユーザー数、右がMUB数です。決算資料を3期ほど遡って取ってきてます。

UB数は高止まりしているものの、そもそも重複した訪問回数を含まないUB数で2億2500万という数字が桁外れであり、日本の人口を考えると成長が鈍化するのもやむを得ないのかなと。質疑応答内でのUB数に関する質問に対してもその旨回答されています。
また、2019年7月期第2四半期決算資料には登録ユーザー数が786万人・UB数が2億3800万になったとの記載があり、引き続き増加傾向にあるものと考えられます。

特に他サービスと比較するまでもなく「はてなは伸びている」と言ってよいでしょう。

 

Amebaブログについて

アプリ分析サービス、App Apeのマーケットレポートを使います。App ApeはサイバーエージェントのHPにも名前が出てくる(AppApe調べ、みたいな感じで)調査会社ですので、数字もある程度正確であると期待できます。


https://lab.appa.pe/2017-07/snsmau2017.html
https://lab.appa.pe/2015-04/sns-dau-comparison.html 
https://lab.appa.pe/2017-09/mauranking2017-sns.html

 

結構な分量があるので要約しますと、アクティブユーザー数についてもユーザーのアクティブ率についても年々上昇していますよ、という内容です。細かい数字はないですが、今回のリサーチは「伸びているかどうか」の確認なので伸びが確認できればそれでよしとします。リサーチに時間かけすぎるのヨクナイ。

ということで「Amebaも伸びている」と。

 

多少余談ながら、アーリー(@NH7023)さんから「Amebaブログって衰退してる感ありません?」というお話をもらいまして。

上記のAppApeレポートによりますと、amebaを支えているのは30〜40代の女性ヘビーユーザーとのことです。アーリーさんの周囲(日常やフォロワー)の方とユーザーが被っておらず、サービスと触れる機会が少なかったため、Amebaはあんまりだという印象になったのかと考えられます。

 

③ その他のブログについて

ここからは衰退していると思われるブログ編です。
note・はてなameba以外で代表的なものブログサービスということで、Yahoo!ブログとlivedoorブログを分析対象にします。
fc2ブログも有名ですが一般的なブログとかけ離れている機能で使われているので省きます。文章じゃなく夢を発信するサービスですからね。)

 

Livedoorブログ

LINEの決算資料を見ましたが、ブログKPIどころかブログの「ブ」のありませんでした。


というとちょっと話を盛りました。ネイティ「ブ」とか「ブ」ロックチェーンあたりで出てきました。あと「livedoorブログ関係の数字だよ」ぐらいの感じで注釈ががこそっと出てきてましたが、サービスの内容について触れている個所はありません。
伸びている、伸ばそうとしているなら多少の言及はするのかなと。投資家へのアピールとして。機能縮小も相次いでますし結構ガチで衰退していると予想されます。

ということで「livedoorブログは衰退している」とします。

 

Yahoo!ブログ

 

Yahoo!ブログ サービス終了のお知らせ

 

 

サービス終了しちゃいました

衰退どころじゃなかった。

 

2月終わりにこの分析を初めたときはLivedoor同様「決算資料に一切言及ないし衰退してるんだろうねー」くらいの結論にしていました。まさかこんなタイムリーにサービス終了のリリースが出るとは。

リリースの内容を見てみますと

近年は、個人の情報発信ができる様々なサービスが増えているなかで、我々は改めてブログのあり方を考え、2017年から新たなYahoo!ブログのβ版テストを行うなど、今後の事業における模索を行ってまいりました。
しかしながら、サービスを取り巻く現在の市場環境や技術的な運用課題、今後の事業方針など、様々な要因をふまえて総合的に検討した結果、これ以上の継続が難しいと判断し、2019年12月15日をもちまして、サービスを終了することにいたしました。

とのことで、情報発信SNSレッドオーシャンチックになる中、差別化やポジショニングをどうすればよいかについて答えが出なかったのかなと。

ということで「Yahoo!ブログは衰退していた(今は終了している)」とします。

 

 

...と、メジャーな分類であるLivedoorとYahooですらこんな状況なのにいわんや他のマイナーブログを、です。他の流行ってないブログサービス分析はやめておきます。流行ってないものを深くリサーチするのも悪くないですが、本エントリーのメインターゲットはnoteの好調要因ですので。データも取れないし。

ということで「はてなAmebaブログは伸びているものの、ブログサービス業界全体は縮小傾向」です。

 

3.分析前半のまとめ

以上から考えると「noteだけが伸びている」のではなく「伸びているブログと伸びていないブログの二極化が進んでいる」と考えた方がよさそうです。
そこで「伸びている群」と「伸びていない群」を比較するとブログサービスを伸ばす上で重要な要素は何か、「伸びているサービス」と「伸びているサービス」を比較すると「noteとはてなAmebaの違い」が見えてくると思います。このあたりを後編で書く予定。

 

まだアイデアレベルなのですが、ブログサービスを本業/主要サービスとして扱っているかどうかという点が、伸びるブログサービスと衰退するブログサービスの分水嶺なのかな、とあたりをつけています。基本的なところですけどね。

ユーザー流入が取れて、長期間滞在してもらえて、記事が増えて、読者が増えて、いわゆるプラットフォーム的な好循環を生んでいると。「note・はてなAmeba」の三者は好循環を生む運営ができている点で共通していて、かつその他のブログサービス群と違うところだと考えました。

で、その三者の中でも特にnoteがキラリと光るところは何か、はCXO深津さんのnoteにヒントがありました。ピースオブケイクのミッションである「だれもが創作をはじめ、続けられるようにすること」を落とし込んでいくと見えてきそうだな、見えてきてほしいな、いや見えてこないと困るんだけど。そんな心境です。

 

最後に本エントリーのまとめを

 

■ noteは凄まじい勢いで伸びている
■ note以外で伸びているのははてなAmeba。ブログ業界全体は縮小傾向
■ 伸びるブログサービスと伸びないブログサービスの二極化が進行中

 

それでは次回に続きます。よろしければ後編にもお付き合いくださいませ。

お読みいただきありがとうございました。