リーガル・レバレッジ

リーガル・レバレッジ

コンサルに転身した元企業法務パーソンが、自分の市場価値を上げようと模索する日々を綴ります。

思い出したい本がある(業務改革・改善編)

「あーこの本はホントに読んで良かったなー。忘れられない一冊になった」

と思った本の記憶が翌日時点で既にふわふわな経験はございませんか。私はあります。悲しい。

記録の大事さをあらためて感じるとともに、似た境遇の人のお役に立てればと思いブックレビューのエントリです。

 

“コンサルが読むべき本“系のブログやまとめは世の中に山ほど存在してます(ニーズがあるんでしょうね)。そんな中で経験2年のひよこコンサルの私が同じようなことを書いても読み手にメリットが有りません。

 

そこで、「これは事業会社で法務やってる時に出会いたかったな」と思わされた

私が実際に読んで、これは自分の課題解決度合いが高かったと実感させてくれた

・法務・総務のお仕事に活かせて

・コンサルスキルの向上にもつながる 

本に絞ってご紹介します。お仕事のクオリティ向上だけでなく、コンサルや他職種に転職したい人にも。

 

アジャイルで始めて継ぎ足し継ぎ足ししていく予定です。秘伝のタレ的に。

 

目次

 

更新記録

2020/05/03

”業務改革の教科書--成功率9割のプロが教える全ノウハウ”を掲載

2020/05/16

孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術”を掲載

 

業務改革本への向き合い方 

法務業務は管理系ですのでコスト削減の要求がうるさく言われ、非効率の改善は良く議題に上がります。また、最近の超トレンド「ハンコレス」のためには電子契約ツールを導入する必要があり、これはデジタルツールによる業務改善ですのでノウハウをまなばないといけません。読むべきの優先度は「高」だと思います

 

古めかしいおじさんはトヨタ式の改善本を押し付けてくることが多い印象です。内容が優れているのは間違いないのですが、メーカーの生産現場に焦点を当てた本をホワイトカラー的な職種の業務改善へ無理に当てはめても上手くいきません。

 

「電話のコール数3回以内が管理部門のKPI」に象徴されますが、無理な数値化は歪みを生むだけ。 効率よく業務改革を学びたければ「自身の業務ジャンルに近い」業務改革本を選ぶのはマストです。

 

業務改革の教科書--成功率9割のプロが教える全ノウハウ

 

特に響いた一文

・定性効果も大きな効果であることは変わらない(むしろ定性の方が意義が大きい場合がある

業務を標準化したり簡略化することには、必ず痛み(部分的に非効率になること)やリスクを伴う

 

概要

実際に業務改革コスト削減の号令が出て対応しないといけない。でもどうやって計画を立てればいいか分からない、いざ着手はしてみたがやり方が分からずいたるところで頭や手が止まる。

業務改革に着手した人なら大概がぶち当たるお悩みです。そんなお悩みを解決してくれるのが本書ですが、この本が特徴的なのは解決策の引き出しの多さと具体性です。業務改革で悩んだことの9割型はこの本に乗ってるんじゃないかと思うくらい。


業務改革の全体像と一連の流れ(チーム立ち上げからクロージング、振り返りと効果測定まで)に沿って充実した個別論が記載されています。総論各論共に質が高いので誰が読んでもハズレ感を感じさせないステキな作りに。

特徴

本書の特徴である具体性の例として、過去プロジェクトのクライアントが実名でインタビューを掲載してくれています。

「古川電工での人事BPRプロジェクトでは業務効率を30%上げることが目的でした」など。機密管理の重要性が高いコンサル本で実例掲載はさすがにビックリ。おかげさまでめちゃくちゃイメージしやすく助かりました。

 

ノウハウ部分もとても具体的・実践的です。これは使えるなと思ったトピックだけでも

  • 改革のコンセプト・ゴールの決め方
  • 現状分析の進め方フレーム
  • 改善施策の王道
  • 業務改善効果の定量化方法
  • 定性的な効果の扱い(無理やり定量化?それとも書かない?)
  • 改革反対派との向かい合い方、対処方法
  • 役員向けリスクシナリオの作り方

などなど。上記は一例でトピックだけ出しているのにこの量。本書の充実さがうかがえると思います。

「定性的な効果の扱い」あたりは、業務改善による定性効果の多い法務業務を担当している方には特に役に立つと感じました。

 

目次部分に微妙な誤字があるのが玉に瑕ですが、なぜそんなところを見てるのかって?

今後の参照用にエクセルで目次の一覧を作ったからです。それだけ気に入りましたということで。

 

余談

この本良いなーと思ってツイートしていたら、GVA法律事務所代表の山本先生からリプライを頂きました。 

 

 「君の本の名は」で映画化間違いなし。何という偶然。
自分の眼の付け所は悪くなかったと一安心でした。

 

GVAつながりで、デジタルツール活用と仕組みの構築で法務業務の品質向上とスピードアップを両立させているお話。法務業務に特化している内容なのでとても参考になるかと思います。合わせ技でこちらもぜひ。

ai-con-pro.com

 

孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術

 

特に響いた一文

・数値化は、過去を振り返って満足するためでも、だれかを悪者にしたりするものでもなく、未来を作るためのものである。そのことを、ぜひ肝に銘じてください

・「最終目標」を達成できずに悩んでいる人は、日々の行動に落とし込んだ中間目標を設定することが不可欠です。その際は、自分で管理できる行動に対して、数字で目標を決めることが重要です

 

概要

ジンスケ(@hell_moot)せんせがツイッターで紹介しておられたので読んでみて大当たりだった本。「数字で説明してといわれても数値化ができない...」と悩んだことがあるのは一度や二度ではなく、私もその一人でした。

 

数値化はあらゆる場面で必要となります。DX(電子契約導入含む)や業務改革をしたければ現状把握・分析をするのが前提で、共通認識を作るために定量的にする必要。データドリブンな業務をしたければデータ分析が前提になり、データ分析のためには数値化が必要。などなど。 

 

業務改革の全体像としては、①改革の目的決め、②現状調査・分析、③あるべき姿の設計、④意思決定者による承認の4ステップがあり、本書は②の現状調査・分析に関する書籍です。

この分析次第で、そもそも業務改善をやるのかやらないのか、やるとしてどのようにやるかが大きく変わる部分なので、業務改革したいのであれば習得必須なスキルです。

 

特徴

数値化の重要性についてだけであれば言及されている本はたくさんあります。しかし最大のお悩み事はそこではなく「どう数値化すればいいのか」です。

「高度な統計・エクセル知識がなくてもOK」が不当表示としか思えないような数値化本もある中、この本は本当に実践可能な内容を書いてくれています。

 

数値化仕事術を実践するための7つのポイントが挙げられていますが、特に私の役に立ったのは

  • 数字は「与えられるもの」ではなく、自分で「取りに行く」もの
  • 数値化のファーストステップは「分ける」。数える前にまず分けろ!
  • 数値化のゴールは、現実の問題を「数式で表す」こと

の3点です。

後編で紹介されている分析ツールも良い内容ですが、別の分析系書籍でもカバーできてしまうので、注目すべきは分析の前提である「数値化」の部分。どうやって数値化したらいいか?数値化したけど運用が上手くいかないぞ...といった数値化に関するお悩みを一括で解決してくれます。

 

法務DXへの活かし方として、契約締結手続をプロセスに分けて表現し、各ステップでどの程度の工数が無駄になっているかを意思決定者に提示することが考えられます。といかこれはマスト。はっしーさんがサリデザにきれいなステップ分けの図を上げておられるので、丸パクリするくらいの気持ちで参考にして作ってみると良いと思います。論文試験と一緒で図解もまずは写経から。

 

成果・アウトプット例

最後に、私の場合はこう活きたよって実例をお話しします。

 

①分析能力向上

分析は業務改革に限らずあらゆる業務で、特にコンサルでは重要なタスクです。転職直後だと分析能力不足に悩まされていました。

「分ける」が大事とは分かっているけれどどう分ければいいのか...で壁に当たっていたところ、少し問題解決。分け方はプロセス以外にもいっぱいありますが、めちゃくちゃよく使う分け方の一つです。業務分析やKPI策定の際によく参考にしていました。

 

②スライド作成力

法務からコンサルに転職してまず壁に当たったのが「パワポの扱い」でした。ワードを使えない弁護士や法務のように、アウトプットを作るツールの扱いが下手だとパフォーマンスに致命的な影響が出ます。

 

転職からそこそこ時間が経っても上達せず、どうトレーニングしたらいいかも分からなく途方に暮れることに。ここでこの本を参考にしました。

図れる指標を目標にする、つまり「良いスライドを作った数」ではなく「スライドを作った数」に焦点を当てて一日1枚優秀な人のスライドを丸パクリするトレーニングを実践。これはマジで効きました。ツイッターとかで作った図をちょくちょくアップするのですが、「綺麗」「メッセージが伝わる」等のお褒めを頂いてます。うれしいです。

 

③法務の目標設定と数値化

数値化を法務の目標設定と絡めて書いた昔のエントリーはこちら。

 

使えそうや課題解決に繋がりそうといったコメントが多かったので、数値化に関する課題を感じている人は多いのだなあと。

 

 

マーケティングとは「組織革命」である。

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